GSKとInnoviva、3成分配合COPD治療薬Trelegy Ellipta、IMPACT試験でのCOPD増悪に対する結果を発表
この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2017年9月20日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細はhttp://www.gsk.comをご参照下さい。
2017月10月18日
GSKとInnoviva、3成分配合COPD治療薬Trelegy Ellipta、IMPACT試験でのCOPD増悪に対する結果を発表
Trelegy Elliptaが、試験の主要評価項目である2成分配合
COPD治療薬(アノーロエリプタおよびレルベアエリプタ)との比較で増悪減少を示した
グラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)およびInnoviva, Inc.(NASDAQ:INVA)は9月20日、吸入ステロイド(ICS)、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、長時間作用性b刺激薬(LABA)からなる、1日1回、単一の吸入器による3剤吸入療法として、FDA から初めて承認された薬剤であるTrelegy Elliptaの第III相試験であるIMPACT試験で良好な結果が得られたことをお知らせします。
米国では、Trelegy Ellipta(フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩、FF/UMEC/VI)は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)において、レルベアエリプタ(FF/VI)に気管支拡張薬の追加投与を必要とする患者、またはレルベアおよびエンクラッセ(ウメクリジニウム臭化物、UMEC)を投与中である患者に対する1日1回投与の長期維持療法薬として承認されています。
10,355例が参加したIMPACT試験では、1日1回投与の2成分配合COPD治療薬として既に承認を受けているGSKの2製品と比較した場合に、以下の通りFF/UMEC/VI(100/62.5/25μg)投与群において、主要評価項目である中等度/重度の年間増悪頻度で統計学的に有意な低下が示されました。
- FF/UMEC/VIをレルベアエリプタ(FF/VI, 100/25μg)と比較した場合、15%の低下がみられました;年間で0.91回に対し1.07回;p<0.001(負の二項回帰モデル
- FF/UMEC/VIをアノーロエリプタ(UMEC/VI, 62.5/25μg)と比較した場合、25%の低下がみられました;年間で0.91回に対し1.21回;p<0.001(負の二項回帰モデル-)
さらに、事前に定めた主な副次評価項目および関連する治療群間比較全体にわたり、以下の通り統計学的に有意な改善を認めました。
- FF/UMEC/VIとFF/VIのトラフFEV1のベースラインからの変化量(52週時)の差は97mLでした;p<0.001。また、FF/UMEC/VIとUMEC/VIの差は54mLとなりました;p<0.001。(反復測定混合モデル)
- FF/UMEC/VIとFF/VIのSt. George’s Respiratory Questionnaireのベースラインからの変化量(52週時)の差は-1.8 unitsでした;p<0.001。また、FF/UMEC/VIとUMEC/VIの差は-1.8 unitsでした;p<0.001。(反復測定混合モデル)
- 中等度/重度のCOPD増悪の初回発現までの期間の分析では、FF/VIと比較した場合、FF/UMEC/VIでは14.8%リスクが低下したことが示されました;p<0.001。また、UMEC/VIと比較した場合、FF/UMEC/VIでは16%リスクが低下したことが示されました;p<0.001。(Cox比例ハザードモデル)
IMPACT試験の主要な結果におけるFF/UMEC/VIの安全性プロファイルは、各配合成分及びそれらの2成分配合剤でこれまでに確認されているものと一致していました。治療群全体で最もよくみられた有害事象は、ウイルス性上気道感染症、COPD増悪、上気道感染症、肺炎、および頭痛でした。最も発現頻度の高い重篤な有害事象は、COPD増悪FF/UMEC/VI、FF/VI、UMEC/VIでそれぞれ、11%、11%および13%;肺炎 FF/UMEC/VI、FF/VI、UMEC/VIでそれぞれ、4%、4%および3%でした。
GSKのR&D PresidentであるPatrick Vallanceは次のように述べています。
「IMPACT試験で達成した良好な結果を喜ばしく思います。これは単一の吸入器を用いた3成分配合剤による治療と2種類の2成分配合剤による治療との比較結果を報告した初の試験であり、3成分配合剤の増悪減少に対する寄与について待ち望んでいたエビデンスが得られました。すべての治療群は個々の配合成分の異なる組み合わせで構成され、直接比較を可能とするために、これらの薬剤はすべてエリプタを用いて1日1回投与されたことも特筆すべき点です。私たちは、今回の試験結果がグローバルのガイドラインに反映されることを期待しており、また各国の規制当局とも共有していく予定です。当社ではCOPD治療への理解を深めるために今回得られた豊富なデータの分析を引き続き進めていく予定です。」
Innoviva, Inc.のCEOであるMike Aguiarは次のようにコメントしています。
「IMPACT試験の結果は、医学界でも長く待ち望まれていました。これらのデータは、単一の吸入器を用いた3剤配合剤治療に関する重要なエビデンスとなるとともに、適切なCOPD患者さんを対象とした現在のICS/LABAおよびLAMA/LABA治療にも大きく貢献するであろうと考えます」
本試験の結果は、近々開催される学会および査読を受けた論文として発表される予定です。
2017年9月14日、GSKおよびInnoviva, Inc.は、欧州連合(EU)のヒト用医薬品委員会(CHMP)が、ICSとLABAの併用では十分な治療効果が得られない中等症から重症のCOPDに対する維持療法薬として、Trelegy Elliptaの製造販売に対する承認勧告を出したことを発表しました。
2017年9月18日、GSKおよびInnoviva, Inc.は、FDAが、COPD(慢性気管支炎および/もしくは肺気腫を含む)の長期維持療法に対する1日1回投与の適応でTrelegy Elliptaを承認したことを発表しました。投与対象は、気道閉塞の改善と増悪の減少のために固定用量のFF/VIを使用している患者のうち、気道閉塞の改善のために追加治療を必要とする患者、または既にUMEC、および固定用量のFF/VIが併用投与されているCOPD患者となります。
なお、Trelegy Elliptaは急性気管支けいれんの緩和または喘息の適応は取得していません。
各国におけるIMPACT試験結果に伴う対象患者拡大のための承認申請は、2018年の第2四半期に開始されると予想されます。
IMPACT試験について
InforMing the PAthway of COPD Treatment (IMPACT)試験は、エリプタを用いて1日1回投与のFF/VI(100 μg/25 μg)およびUMEC/VI(62.5 μg/25 μg)と比較したFF/UMEC/VI(100 μg/62.5 μg/25 μg)を評価する、無作為化、二重盲検、3群、多施設共同並行群間比較試験です。試験期間は約55週間であり、2週間の前観察期間、52週間の治療期間、および1週間の安全性フォローアップ期間から構成されました。中等症から最重症の症状を有するCOPDで、過去12カ月間のうちに増悪歴が認められる患者を組み入れ対象としました。試験は、全世界の1,035の施設で実施され、計10,355人が参加しました。
有効性に関する主要評価項目は、中等度および重度の年間増悪頻度とし、FF/UMEC/VIとFF/VI、FF/UMEC/VIとUMEC/VIで比較しました。その他の評価項目には、健康に関連したQOL尺度を含む、肺機能および被験者からの報告アウトカムが含まれました。
COPDについて
COPDとは、慢性気管支炎、肺気腫、またはその両方を含む肺疾患のことであり、肺への気流が制限され正常な呼吸機能に影響を及ぼします。世界中で3億8400万人が罹患しているとされています[1]。COPDで苦しむ人は、正常に呼吸できなかったり、症状が悪化したりすることで、日常生活に大きな影響を受け、2階へ上がるといった簡単な動きでさえ苦労することがあります。
長期間に及ぶ肺への刺激物の曝露が肺と気道の状態を悪化させることが、一般にCOPDの原因となっています。環境または職場における、喫煙、受動喫煙、大気汚染、化学煙霧、または粉塵などが全て、COPDの原因となり得るのです。
COPD患者さんのほとんどは、40歳を過ぎたころから症状が出始めます[2]。
COPD患者さんの症状はそれぞれが異なっており、異なるニーズ、異なる課題、さらには異なる治療ゴールを持っています。GSKはこのような異なる状況を理解し、患者さん個人のニーズに合うよう注力することが重要であると考えています。
Trelegy Elliptaについて
Trelegy Elliptaは、米国で慢性閉塞性肺疾患(COPD)を対象に長期維持療法の適応で承認された、1日1回投与でエリプタを用いた初めての3剤配合治療薬です。対象は、気道閉塞の改善と増悪の減少のために固定用量のFF/VIを使用している患者のうち、気道閉塞の改善のために追加治療を必要とする患者、または既にUMEC、および固定用量のFF/VIが併用投与されているCOPD(慢性気管支炎および/もしくは肺気腫を含む)患者となります。
なお、Trelegy Elliptaは急性気管支けいれんの緩和または喘息の適応は取得していません。
Trelegyは、吸入器であるエリプタに、ICSであるFF、LAMAであるUMEC、およびLABAであるVIを含むものです。
米国の添付文書全文はこちらから入手可能です。us.gsk.com.
Trelegy Elliptaは現在日本において製造販売承認を取得しておりません。
[1] Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease. 2017. Pocket guide to COPD diagnosis, management, and prevention.
[2] Diagnosis of COPD. World Health Organisation
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