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研究所の中と外でマラリアと闘う
蚊:世界中で生命を脅かす生物

研究所の中と外でマラリアと闘う

マラリアとの闘いには進展が見られているにも関わらず、毎年何百万もの人たちが苦しみ続けています。私たちは科学に根ざした医薬品およびワクチンの研究を行い、マラリアとの闘いに貢献しています。

マラリアは世界最古の疾患の1つであり、蚊が媒介する病気の証拠が古代エジプトのミイラから採取した組織で見つかっています[1]。しかしその長い歴史と生物学に対する理解が深まったにも関わらず、マラリアは依然として世界で最も死亡率の高い疾患の1つです。

  • 2分毎に

    1人の子どもの命がマラリアで失われています

2019年には、409,000人がマラリアで死亡し、その大半はサハラ以南のアフリカ諸国の人々でした。犠牲者の多くは幼い子どもたちです。

マラリア対策を強力に推し進めたにもかかわらず、2017年にWHOは、世界のマラリア対策が「岐路」に立たされており、WHOの主要目標である世界的マラリア撲滅戦略は失敗する可能性があると警告しました。WHOの「世界マラリア報告書2020」によると、2020年の感染者数と死亡者数の削減目標は、それぞれ37%と22%の達成率にとどまり、マラリア対策が引き続き停滞していることが明らかとなりました。

マラリアとは?

1897年、科学者のロナルド・ロスはメスのハマダラカがマラリアの原因となるマラリア原虫を運んでいることを発見し、蚊とマラリアとを結び付けました。敵は非常に小さいものの、強烈な威力を持っています。マラリア原虫には、5種類あります。そのなかで、サハラ以南のアフリカで最もよく見られるのは熱帯性マラリア原虫ですが、南アジア、東南アジア、中南米、そしてアフリカ北東部にあるアフリカの角において最も一般的なのは三日熱マラリア原虫です。

どのタイプのマラリアでも、人は蚊に刺されることによりマラリア原虫に感染します。不幸にも感染してしまった場合、発熱、震え、嘔吐などが見られることがありますが、治療しないまま放置すると、貧血、発作、昏睡状態、さらには死亡にもつながる可能性があります。最も多くマラリアの脅威にさらされているのは5歳未満の子どもたちです。子どもたちは、かなりの頻度で最も重篤なタイプのマラリアに苦しんでいます。​

あらゆる面でマラリアと闘う

マラリアとの闘いにおける私たちの挑戦は1世紀以上にも遡り、ヘンリー・ウェルカム卿が熱帯病の組織立った研究を開発したことから始まりました。今日、私たちは医薬品およびワクチンの研究からコミュニティでの予防および医療関係者の研修のサポート、そして抗マラリア薬の供給まで、あらゆる面でマラリアと闘い続けています。

スペインのトレスカントスでマラリア研究に取り組む研究者
スペインのトレスカントスでマラリア研究に取り組む研究者

闘いは研究室で始まります。スペインのトレスカントスにあるGSKの研究開発施設では、研究者がマラリア創薬部門に所属しています。GSK内外から集まっているこれらの研究者は、創薬のごく早期段階に焦点を当てた先駆的な研究を遂行しています。臨床開発に移行しつつある医薬品候補を有しています。GSKの研究者たちはトレスカントスの施設を世界中のマラリアコミュニティの研究者と共有しており、研究者が開発した化合物がマラリア原虫を迅速に死滅させる作用を有するか評価する機会を提供しています。

またGSKは自社開発の化合物やデータを公開し、マラリア研究の前進を後押ししています。GSKのケミカル・ライブラリーにおける200万以上の化合物がマラリア原虫に対する取り組みのために精査されました。13,500の化合物のデータが公開され、160の世界中の研究団体に「マラリアボックス」の一部として送られています。

「眠っている」原虫を探し出す

5種類のマラリア原虫のうち、三日熱マラリア原虫は特に悪質です。肝臓内で「眠る」場所を何とか見つけることで、この原虫は私たちの免疫系を逃れ、最初に蚊に刺されてから数週間または数カ月後に再び表面に現れることができるため、疾患の症状の再発につながります。このような再発は、思いもよらないときにあらゆる年齢層の人に起こる可能性があり、重大な公衆衛生および経済的影響につながります。

しかし、マラリア原虫の防御機構に打ち勝つ方法を見つけるのは、容易なことではありません。三日熱マラリア原虫は複合生物であり、1950年代以降、誰もこの形態のマラリアに対する医薬品の開発に成功していません。しかし今、私たちはこれを変えようとしています。

2018年、Medicine for Malaria Venturesと共同開発したタフェノキン*が、米国食品医薬品局により成人を対象として認可され、その後オーストラリア、ブラジル、タイ、ペルーでも認可されました。60余年ぶりに認可されたこの抗マラリア薬は、三日熱マラリア原虫症の再発を予防する初の治療薬であり、マラリアの撲滅に大きく貢献しました。この疾患で世界的に大きな被害を受けているのは子どもたちであることから、私たちは今、タフェノキン*の小児適用の認可に向けて動いています(GSKは、認可が下りれば、流行地での使用をサポートする予定です)。将来的には、GSK活動の一環として、パートナー機関と協働し、タフェノキンをマラリア流行地に入手可能な価格で提供する予定です。
*日本では未承認です

マラリアをコントロールすることは急務であり、私たちはマラリアを永久に撲滅するというWHOの目標をサポートする役割を全力で果たしています。マラリア原虫に対する医薬品やワクチンの開発は特に困難です。これは、マラリア原虫に打ち勝とうという私たちの最善の努力を出し抜いて、マラリア原虫が進化するためです。

アリソンは次のように付け加えています。「目標を達成するには、患者さんの利益になるアイデア交換を促す環境を生み出すような、外部パートナーとの協力が重要であると私たちは考えています。私たちはマラリア用医薬品およびワクチンの開発にあたり、このようなアプローチを取っています。」

30年以上にわたるワクチンの探求

ベルギー、リクセンサールで科学者として働くババクとフランソワ
ベルギー、リクセンサールで科学者として働くババクとフランソワ

マラリアとの闘いには、蚊帳や医薬品の備蓄、さらにはワクチンのような予防対策を備えておくことが必要となります。マラリアに対抗するワクチンを見つけることは、途方もなく困難です。というのも、ヒトにおいて最も死亡率の高いマラリアの原因となる熱帯熱マラリア原虫は、ヒト宿主に適合し、その免疫反応を避けることができるためです。

しかし、パートナーと共に行った30年以上にわたる研究の結果、アフリカの幼児にマラリアワクチン(RTS,S)*を届けることが、実現に近づいています。RTS,Sは、サハラ以南のアフリカ諸国にて最大規模の臨床試験が行われ、2015年に欧州医薬品庁より承認勧告を受けました。WHOはこのワクチンを、定期予防接種プログラムを通してパイロット的に導入することを推進しており、2019年にガーナ、マラウィ、ケニアの一部地域で開始しました。
*日本では未承認です

このプロジェクトが終了するまでに(2024年終了と予測)RTS,Sの開発に10億ドルが投資される予定であり、そのうち7億ドルはGSKによる投資になります。

2021年1月、GSKは、RTS,S についてBharat Biotech(BBIL)社と製品移転契約を締結したことを発表しました。今後WHOからこのワクチンのさらに広範な使用に関する勧告があった場合に、サハラ以南の子どもたちに確実に長期的かつ持続可能な形でのワクチン供給ができるようにするためです。BBIL社は、技術移転が完了次第ワクチン供給を開始する予定で、2029年までには実現すると見込んでいます。GSKはパイロット接種プラグラムにRTS,Sを最大1,000万回分提供し、さらにWHOより広範使用の勧告があった場合には2028年までに年間1,500万回分を安定供給することを表明しており、BBIL社との提携はこの取り組みを確実・強固にするものとなります。

マラリアワクチンの新たな投与レジメン確立を目指した臨床試験も進行中です。

マラリアと闘うために医療制度をより確固たるものにする

マラリアとの闘いに関して言うと、私たちは何が機能するのかを理解しています。それは蚊帳などの予防ツール、迅速な診断および治療です。しかし大変なのは、必要な場所で必要なときにこれらの手段に人々が確実にアクセスできるようにするということです。

遠隔地のコミュニティに出向いて、蚊帳を取り付ける方法を教え、迅速な診断テストを実施するヘルスワーカーがさらに必要です。医薬品を確実に供給するより多くの医療施設も不可欠です。

タンザニア、タンダヒンバの住民とマラリアについて話し合うコミュニティヘルスワーカー
タンザニア、タンダヒンバの住民とマラリアについて話し合うコミュニティヘルスワーカー

医療制度の強化のためには、政府、市民社会および企業のパートナーシップも極めて重要です。このため私たちは、英国の慈善団体であるコミックリリーフと協力し、マラリアとの闘いのために2,200万ポンドの基金を確保しました。

このパートナーシップを通してGSKは、アフリカのサハラ以南諸国や東南アジアのメコン川流域6カ国における22のコミュニティプロジェクトを支援しています。これらのプロジェクトの内容は、若者が主導する活動への支援から、医療従事者やボランティアの育成にいたるまで多岐に渡ります。これらはすべて、人々が適切な時に適切な場所でマラリアの予防、診断、治療を受けられるようになることを目標としています。これらのプロジェクトは現時点で、165,000人の妊婦および226,000人の5歳未満の小児を含む170万人を超える人々にリーチしています。

GSK Vaccinesのチーフ・メディカル・オフィサーであるトーマス・ブリューワーは、この勢いをもってすれば、この古くからの人類の敵であるマラリアの制圧も可能と考えています。「それぞれの取り組みと専門知識――私たちの場合は科学的、技術的ノウハウ――を結集し、パートナーと協働すれば、待ち望まれているマラリアの予防・治療の手段を開発し、それらを必要とする人々に提供することができると確信しています」

Sources

[1] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2600410/