GSK、60歳以上を対象としたRSウイルスワクチン「Arexvy」についてRSウイルス流行期2シーズンでのRSウイルス予防効果を示す良好なデータを発表

この資料は、英国GSK plcが2023年6月21日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。
詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2023年6月21日 英国ロンドン発>

GSK、60歳以上を対象としたRSウイルスワクチン「Arexvy」についてRSウイルス流行期2シーズンでのRSウイルス予防効果を示す良好なデータを発表

  • 現在進行中の第III相試験AReSVi-006において、基礎疾患を有する集団も含むRSウイルスによる下気道疾患および重症疾患に対して、RSウイルス流行期2シーズン(追跡期間中央値:18カ月)でのワクチンの有効性が示された

  • 安全性および副反応データは、第III相試験プログラムで当初得られた結果と一致

  • 臨床開発プログラムでは、より長期の追跡調査評価およびワクチン追加接種の最適な時期について引き続き評価予定

GSK(本社:英国)は、60歳以上を対象とするRSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)による下気道疾患の予防を目的としたRSウイルスワクチン「Arexvy(アジュバント添加RSウイルスワクチン)」の第III相試験AReSVi-006(Adult Respiratory Syncytial Virus)において、複数回のRSウイルス流行期でのRSウイルスによる下気道疾患に対してArexvy単回接種後の有効性および年1回の追加接種後の有効性を評価した新たなデータを発表しました。

RSウイルス流行期2シーズン(追跡期間中央値:18カ月)にわたる単回投与の有効性
RSウイルスによる下気道疾患および重症疾患に対して、RSウイルスの流行期2シーズンにわたる単回接種の有効性が示されました。

ワクチンの有効性

基礎疾患を有する成人および高年齢成人において、RSウイルス流行期2シーズンにわたって、同様のワクチンの有効性パターンが認められたことから、RSウイルスの重篤な転帰に至るリスクが高い人に対するワクチンの効果が裏付けられました。

追加接種
また、検証的副次評価項目として、年1回のワクチン追加接種スケジュール後の有効性も評価しました。2回目の接種を受けた被験者でのRSウイルス流行期2シーズンにわたる累積有効性は、67.1%(97.5%CI:48.1~80.0、12,469例中30例対12,498例中の139例)であり、初回接種12カ月後の追加接種による追加の利益は示されませんでした。引き続き、臨床開発プログラムでは、より長期の追跡調査の評価および追加接種の最適な時期について評価を行っていきます。

GSKのチーフ・サイエンティフィック・オフィサーであるトニー・ウッド(Tony Wood)は次のように述べています。
「私たちGSKは、RSウイルスによるリスクが高い高年齢成人において高い予防効果を示すことを目ざしています。今回得られたデータは、年齢または基礎疾患からみてリスクの高い集団も含め、ワクチンを単回投与したときのRSウイルスによる下気道疾患に対して、RSウイルス流行期2シーズンでの有効性を示しました。このことから、ワクチンの公衆衛生に対する効果が大きいという当社の確信はさらに強まりました。これらの結果について、規制当局やワクチン推奨団体と話し合いを進めるとともに、現在進行中の臨床開発プログラムからさらに多くのデータが得られることを期待しています。」

安全性および反応原性データは、第III相臨床試験プログラムで当初得られた結果と一致していました。ワクチンの忍容性は概して良好で、最も高頻度に認められた有害事象は注射部位疼痛、疲労、筋肉痛、頭痛、関節痛でしたが、これらは全般的に軽度~中等度であり、一過性のものでした。

今回得られたデータは、2023年6月21日に開催された米国疾病対策予防センター(CDC)の予防接種諮問委員会(ACIP)の会議で発表されました。インフルエンザワクチンの併用投与試験2件(4価高用量ワクチンおよび4価アジュバント添加ワクチン)から得られたデータも併せて提示します。これは現行の米国の添付文書に記載されている季節性4価インフルエンザワクチンの併用投与データに追加する予定です。またこれらのデータを、審査のために米国食品医薬品局(FDA)および他の規制当局に提出する予定です。

AReSVi-006について
本試験は、60歳以上の成人を対象にGSKのアジュバント添加高年齢成人用RSウイルスワクチンの単回投与の有効性および年1回追加接種したときの有効性を3年間にわたり検証する、ランダム化、プラセボ対照、観察者盲検、国際共同、第III相試験です。本試験には17カ国から約25,000例が登録されました。本試験の主要評価項目は、1回目のRSウイルス流行期シーズン後(ワクチンの初回接種後の最初のRSウイルスシーズン後)のRSウイルスによる下気道疾患に対するワクチンの有効性でした。最初の結果は2023年2月に「New England Journal of Medicine」に発表されました。

1回目のRSウイルス流行期シーズン後、RSウイルスワクチン群の12,469例の被験者を再度RSウイルスワクチン群とプラセボ群に無作為に割り付け、RSウイルスによる下気道疾患の発現について追跡調査しました。2シーズン経過時点のRSウイルスによる下気道疾患に対するワクチンを単回接種したときのワクチン有効性と年1回追加接種したときのワクチン有効性を検証的副次評価項目としました。

Arexvy(アジュバント添加RSウイルスワクチン)について
Arexvyは、アジュバント添加RSウイルスワクチンであり、膜融合前型で安定化された遺伝子組換えRSウイルスF糖タンパク質(RSVPreF3)抗原を含有しています。この抗原には、GSK独自のAS01Eアジュバントを組み合わせています。

Arexvyは、60歳以上を対象としたRSウイルスによる下気道疾患の予防を適応として、米国食品医薬品局(FDA)には2023年5月に承認、欧州委員会には2023年6月に承認されたRSウイルスワクチンです。日本においては2022年10月に規制当局へ承認申請を行いました。その他国々の規制当局による審査も進行中です。

現在、GSKの高年齢成人向けのRSウイルスワクチンは欧州および米国以外の国や地域では承認されていません。欧州および米国以外での商標名は各国の規制当局の承認に基づき決定されます。

GSKが所有するAS01アジュバントシステムには、Agenus社の完全子会社であるAntigenics社よりライセンス供与されたQS-21 Stimulonアジュバントが含まれています。

高年齢成人におけるRSウイルスについて
RSウイルスは、肺および呼吸器に影響を及ぼす一般的な感染性ウイルスです。高年齢成人では、加齢に伴う免疫力低下などのため重症化リスクが高く、基礎疾患のある高年齢成人ではより重症化するリスクが高くなるといわれています。RSウイルスにより、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、慢性心不全などの病態が悪化し、肺炎、入院、死亡などの重篤な転帰につながる可能性があります。米国では毎年、RSウイルスによる65歳以上の成人の入院が約177,000例、死亡が14,000例と推定されています1。60歳以上の成人では、入院に至る可能性のある重度のRSウイルス感染のリスクが高いことがデータから示唆されており2,3、基礎疾患のある成人では、基礎疾患のない成人と比較し、受診する可能性が高く入院率も高くなるといわれています。日本の60歳以上においては約63,000例の入院と4,000例の死亡原因であると推定されています4

GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1 Falsey AR, et al. N Engl J Med 2005; 352:1749-1759 DOI: 10.1056/NEJMoa043951. Accessed March 2023.
2 Tseng HF, Sy LS, Ackerson B, et al. Severe morbidity and short- and mid- to long-term mortality in older adults hospitalized with respiratory syncytial virus infection. J Infect Dis. 2020;222(8):1298-1310. doi:10.1093/infdis/jiaa361.
3 Belongia EA, King JP, Kieke BA, et al. Clinical features, severity, and incidence of RSV illness during 12 consecutive seasons in a community cohort of adults ≥60 years old. Open Forum Infect Dis. 2018;5(12):ofy316. doi:10.1093/ofid/ofy316.
4 Savic M, Penders Y, Shi T, Branche A, Pirçon J-Y. Respiratory syncytial virus disease burden in adults aged 60 years and older in high-income countries: a systematic literature review and meta-analysis. Influenza Other Respir Viruses 2022 November 11. Available at: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/irv.13031