マラリアワクチンの候補品が 15,000人以上の乳幼児と小児を対象とした後期試験で、 18ヵ月以上の追跡期間中の発症を軽減

この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2013年10月8日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細はhttp://www.gsk.comをご参照下さい。

<2013年10月8日、英国ロンドン発>

- マラリアは公衆衛生上きわめて深刻な問題であり、サハラ以南のアフリカ諸国で毎年66万人が死亡しており、そのほとんどが小児です
- 今回の成績は2014年の薬事申請を支持しています


Multilateral Initiative on Malaria Pan African Conference(南アフリカ・ダーバン)— ダーバンで報告された大規模第III相試験の成績から、臨床的に最も進んでいるマラリアワクチンの候補品、RTS,Sを接種した乳幼児で接種後18ヵ月間にわたりマラリアの発症を予防し続けていることが示されました。この成績に基づき、GSKは2014年に欧州医薬品庁(EMA)に薬事申請を行う方針です。もしEMAがRTS,Sマラリアワクチンを前向きに認めた場合、早ければ2015年にも同ワクチンの接種勧告を行う可能性があることを世界保健機関(WHO)は示しました。

今回の最新結果では、18ヵ月間以上にわたる追跡調査期間中、RTS,Sを接種した幼児(1回目の接種が生後5~17ヵ月)でマラリアの発症がほぼ半減し、乳児(1回目の接種が生後6~12週)での発症を約4分の1減少したことが示されました。

ワクチンの有効性はマラリアの感染状況が大きく異なっている試験実施施設ごとに独立に評価され、幼児については全施設で、乳児については4施設で、統計学的に有意な効果が認められました。

アフリカの7カ国において、11の研究センター1がグラクソ・スミスクライン(GSK)とPATH マラリアワクチンイニシアチブ(MVI) とともに本試験に参加しており、この資金はビル&メリンダ・ゲイツ財団よりMVIに提供された助成金から拠出されています。

ブルキナファソ・ナノロにある試験施設の治験責任医師であり、RTS,Sの第III相試験の実施を監督するクリニカル・トライアル・パートナーシップ・コミッティー(CTPC)の議長を務めるHalidou Tinto氏は次の通り述べています。「アフリカでは、年間ほぼ60万人がマラリアにより死亡し、その多くは5歳未満の子供です。我々の病院の病棟は数百万例のマラリア患者で占められています。ベッドへの蚊帳の設置や、その他の対策で少しずつ状況は改善していますが、このような悲惨な疾患と闘うためには更に有効な手段が必要です。」

有効性および予防例
RTS,Sの有効性と公衆衛生に与える影響は、殺虫剤塗布蚊帳(治験に参加した幼児での使用率は78%、乳児では86%)など、既存の管理対策が適用されている状況下で評価されました。18ヵ月に及ぶ追跡調査における最新の成績では、生後5~17ヵ月に1回目の接種を受けた幼児では、対照ワクチンの投与例に比べ、マラリア発症数が46%低減しました。追跡調査期間中、この年齢層で接種を受けた乳幼児1000人あたり平均941例でマラリアの発症が予防されました(1人が複数回感染することもある)。重症マラリアの発症数は36%減少し、ワクチン接種を受けた乳幼児1000人あたり21例の重症マラリアが18ヵ月の追跡調査期間を通じて予防されました。マラリアによる入院数は42%減少しました。

生後6~12週で1回目の接種を受けた乳児では、マラリアの発症率が27%減少しました。18ヵ月の追跡調査期間中、ワクチンの接種を行った乳児1000人あたり444例でマラリアが予防されました。重症マラリアの症例数の減少率は15%であり、重症マラリアの入院数の減少率は17%でしたが、統計学的な差はみられませんでした。

Tinto氏は、「RTS,Sワクチンは公衆衛生に大きなインパクトを与える可能性を持っていると思われます。マラリアの発症数を大幅に減少させることは、社会にとって、病院のベッドを占める病気の子供の数が減ることを意味します。家族はこれまで、このような子供たちのケアのために使っていた時間やお金を、仕事やもっと他のことに使うことができるようになります。もちろん、子供たち自身にとっても、より良い健康状態でいられることはとても有益なことです。」

全体として、ワクチンの有効性は時間の経過と共に減少しました。第III相臨床試験における前回の1年間の追跡調査結果では、生後5~17ヵ月の年齢層で有効性は56%、重症マラリアに対しては47%であり、生後6~12週の年齢層での有効性は31%、重症マラリアでは37%でした。

安全性
RTS,Sは18ヵ月の追跡調査期間中も許容可能な安全性と忍容性を示しました。以前報告された髄膜炎2を除き、安全性に関するその他の問題は報告されませんでした。残りの試験期間を通じて髄膜炎の発生については注意深く追跡していきます。

来年
32ヵ月間の追跡調査と、初回から3回の接種18ヵ月後に4回目として接種するブースター投与の効果について、更に成績を2014年に公開する予定です。


結果に関するコメント
GSKのアンドリュー・ウィティーCEOは次の通り述べています。「私たちは、RTS,Sがアフリカの異なる地域で、乳幼児に対し18ヵ月間に渡り意味のある予防効果をもたらしたことを示す今回の最新結果で非常に勇気づけられました。時間経過と共にワクチンの有効性がいくらか減少したことが示されましたが、マラリアにかかる子供たちの数は莫大であるため、このワクチンが驚くほど多くの子供を助けられることは素晴らしいことです。今回のデータは、このワクチン候補品を薬事申請するという私たちの決断を後押しし、もし承認されれば、この致死的な病気と闘うツールを新たに手に入れるという私たちの夢にまた一歩近づくことになるのです。私たちは、アフリカとGSKの研究者、そしてここに至るまで30年間にわたり休みなく努力し続けてくれたパートナーたちに感謝します。」

PATHの製品開発部門のバイスプレジデント、David Kaslow氏は次の通り述べています。「マラリアがアフリカの子供たちにもたらす多大な疾患による負荷を考えますと、私たちは今回の最新結果が示す、RTS,Sがアフリカの子供たちに重要かつ顕著な効果を与える可能性を持つことを無視できません。データの先読みをしないよう気をつけなくてはいけませんが、本試験は、マラリアワクチンが既存のマラリア対策手段を提供する以上の有益性を与えられることを示しています。」

参考

RTS,Sについて
RTS,Sは今回のマラリアワクチン候補品の科学的な名称で、本ワクチンの構成成分を表しています。本ワクチンはAS01アジュバントシステム3を含みます。RTS,Sは、熱帯熱マラリア原虫が宿主となるヒトの血流に初めて入る時、あるいは原虫が肝細胞に感染する時に、免疫を活性化することで原虫からヒトを守ることを標的にしています。本ワクチンは、マラリア原虫の感染、成熟、肝臓での増殖を妨げるように設計されています。肝臓で増殖した原虫が再度血流に入ると、赤血球に感染し、マラリアが発症します。有効性を評価する第III相試験では、RTS,Sを1ヵ月おきに3回接種しました。ビル&メリンダ・ゲイツ財団から得られた2億ドル以上の助成金により、MVIはRTS,Sの開発において財務・科学・管理・現場の各方面で専門知識を提供しています。GSKは、臨床開発の全般を先導しており、これまでに3億5千万ドル以上を出資してきました。さらに本プロジェクトの完了までに2億6千万ドル以上を投資する予定です。

未来を見据えて
今回の新しい成績は、EMA条項58の手続きに従い、RTS,Sにおける科学的評価を医薬品委員会(CHMP)に申請をするというGSKの計画を支持するものです。EMAは、WHOと協力して、RTS,Sワクチン候補品の品質、安全性、有効性のデータを評価します。CHMPの科学的評価が有望であれば、アフリカの規制当局によるRTS,Sのワクチン登録を促進することにつながります。さらに、EMAが有望と評価し、第III相臨床試験の安全性・有効性データを含む公衆衛生上の必要な情報が十分であると判断した場合、WHOはRTS,Sワクチン候補品に関する勧告を早ければ2015年に示すことが可能と述べています。これが実現すればアフリカの各国における予防接種プログラムを通じ、本ワクチンの大規模な導入への道が開かれることになります。蚊帳や抗マラリア薬などの他の方法と有効なワクチンの併用により、マラリア対策が一歩前進するでしょう。

グラクソ・スミスクラインは、研究に基盤を置き世界をリードする、医薬品およびヘルスケア企業であり、人々が心身ともに健康でより充実して長生きできるよう、生活の質の向上に全力を尽くすことを企業使命としています。詳細はwww.gsk.comをご覧ください。

PATH マラリアワクチンイニシアチブ(MVI)は、PATHがビル&メリンダ・ゲイツ財団から提供された初期の助成金で設立したグローバルのプログラムです。MVIのミッションは、マラリアワクチンの開発を加速させ、それがマラリア発生国に確実に提供され人々がアクセスできるようにすることです。MVIのビジョンは、マラリアのない世界です。詳細はwww.malariavaccine.orgをご覧ください。

PATHはイノベーションを通して世界の保健事情を変革する国際非営利団体です。PATHは命を救うワクチン、薬剤、診断薬や医療機器からコミュニティとの提携プログラムまで、低コストで影響力の高い解決策の開発と導入に向けた起業家的アプローチを行っています。70カ国以上での活動を通して、PATHとそのパートナーは人々がその力を最大限発揮できるよう支援しています。詳細はwww.path.orgをご覧ください。

References
1 Burkina Faso – Nanoro, Institut de Recherche en Science de la Santé (IRSS) / Centre Muraz
Gabon – Lambaréné Albert Schweitzer Hospital, Medical Research Unit
Ghana – Agogo/Kumasi: School of Medical Sciences, Kwame Nkrumah University of Science and Technology, Agogo Presbyterian Hospital
Ghana – Kintampo: Kintampo Health Research Centre, Ghana Health Service
Kenya – Kilifi, KEMRI-Wellcome Trust Research Program 
Kenya – Kombewa (Kisumu), KEMRI-Walter Reed Project Kenya Medical Research Institute 
Kenya – Siaya (Kisumu), KEMRI-CDC Research and Public Health Collaboration 
Malawi – Lilongwe, University of North Carolina Project at the Tidziwe Centre 
Mozambique – Manhica, Centro de Investigação em Saúde de Manhiça 
Tanzania – Bagamoyo, Ifakara Health Institute, Swiss Tropical and Public Health Institute
Tanzania – Korogwe, National Institute for Medical Research, Tanzania, Kilimanjaro Christian Medical Centre 
2 The RTS,S Clinical Trials Partnership. NEJM. 2011; DOI 10.1056/NEJMoa1102287; The RTS,S Clinical Trials Partnership. NEJM. 2012; DOI: 10.1056/NEJMoa1208394 
3 The GSK protrietary AS01 adjuvant system contains QS-21 Stimulon® adjuvant licensed from Antigenics Inc, a wholly owned subsidiary of Agenus Inc. (NASDAQ: AGEN), MPL and liposomes.