GSKとサノフィ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する遺伝子組換えタンパク質ベースのアジュバント添加ワクチン 高齢者において十分な免疫応答を得るため、試験計画を遅らせると発表

この資料は、仏サノフィおよび英国グラクソ・スミスクラインplcが2020年12月11日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。詳細は https://www.gsk.com をご参照ください。

<2020年12月11日英国ロンドン、フランスパリ発>

GSKとサノフィ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する遺伝子組換えタンパク質ベースのアジュバント添加ワクチン 高齢者において十分な免疫応答を得るため、試験計画を遅らせると発表

  • 第1/2相臨床試験で、18~49歳の被検者において、COVID-19から回復した人に匹敵する免疫応答が示される

  • 高齢者において十分な免疫応答が得られなかったことから、すべての年齢層において十分な免疫応答を得るために抗原の濃度を改善する必要性が示される

  • 両社は、改善された抗原を用いて第2b相臨床試験を実施予定

  • BARDAの支援の下、「ワープ・スピード作戦」の一環として、承認されたCOVID-19ワクチンとの比較を含め、2021年2月に試験を開始

  • 開発計画が成功すれば、2021年第4四半期に実用化の見込み

サノフィ(本社:フランス)とグラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)は12月11日、遺伝子組換えタンパク質ベースのアジュバント添加ワクチンに関し、高齢者において十分な免疫応答を得るため、試験計画を遅らせると発表しました。第1/2相臨床試験の中間解析によると、18~49歳の被検者においてはCOVID-19から回復した人に匹敵する免疫応答が得られました。しかし、高齢者においては抗原の濃度が不十分であったと考えられ、十分な免疫応答が示されませんでした。

改善した抗原を用いたヒト以外の霊長類を対象とした試験では、ワクチン候補が肺を病理学的に保護し、2~4日以内に鼻腔や肺から速やかにウイルスを除去することが示されています。これらの結果から両社は、この遺伝子組換えタンパク質ベースのアジュバント添加プラットフォームを用い、すべての成人に効果的なワクチンを提供することは可能であると確信しています。

サノフィの遺伝子組換え技術とGSKのアジュバント技術は、インフルエンザに対し効果が実証され、既に確立されたプラットフォームです。遺伝子組換え技術は、通常のワクチンが使用される温度での安定性と高く持続的な免疫応答を引き起こす能力、そしてウイルス感染を予防する可能性をもたらします。

サノフィのエグゼクティブバイスプレジデントでサノフィパスツールのグローバルヘッドのトマ・トリオンフは次のように述べています。
「私たちは公衆衛生を非常に重視しており、開発の遅れをお知らせすることは大変残念です。しかしながら、私たちは常にサイエンスとデータに基づき決断を下しています。私たちは今後歩むべき道筋を見定めており、安全で効果的なCOVID-19ワクチンをお届けできると確信し、開発に取組んでいます。今回の結果や、新たに得られた期待の持てる前臨床データに基づき、私たちはワクチン候補を最適化し、目標達成に向け全力を注いで参ります。世界はパンデミックと闘うため、複数のワクチンを必要としています。そしてこれは1社だけで成し遂げられることではありません。」

GSK グローバルワクチン プレジデントのロジャー・コナーは次のように述べています。
「試験結果は、我々が期待していたものではありませんでした。これまでの経験や他の協働からも、GSKのアジュバントは、COVID-19の抗原と組み合わせることで、忍容可能な副反応プロファイルを備え、十分な免疫応答を引き起こすことができると確信しています。このパンデミックを制圧するには、複数のワクチンが必要であることも明らかです。我々の目下の目標は、パートナーであるサノフィと緊密に連携し、改善された抗原を用いてワクチンを開発し、COVID-19の予防に大きく貢献することです。」

両社は、W15QKN-16-9-1002の契約の下、米国保健福祉省(HHS)の事前準備・対応担当次官補局(ASPR)の一部門である米国生物医学先端研究開発局(BARDA)の協力を得て、第2b相臨床試験を2021年2月に実施する予定です。試験では、承認されたCOVID-19ワクチンとの比較も行われます。結果が良好であれば、2021年第2四半期に第3相臨床試験を開始する予定です。そして良好な結果が得られれば、2021年下半期に承認申請を行う予定で、ワクチンの実用化は2021年半ばから第4四半期にずれ込む見込みです。

サノフィとGSKが開発する遺伝子組換えタンパク質ベースのアジュバント添加ワクチン候補は、2020年7月、その開発と製造を加速させるため、米国政府より「ワープ・スピード作戦」の1つに選ばれています。

両社はワクチン購入の契約が締結された政府や欧州委員会にこの結果の報告を行っています。

第1/2相臨床試験
第1/2相臨床試験の中間解析では、ワクチン候補の2回接種により、18~49歳の被検者において、COVID-19から回復した人の血清に匹敵する中和抗体価を示し、バランスのとれた細胞応答が認められましたが、50歳以上の被検者では、十分な中和抗体価が認められませんでした。またワクチン候補は、一過性ではありますが、想定よりも高い副反応を示しました。これは抗原組成が最適化されていなかったことが原因の可能性もあります。このワクチン候補に関連した重篤な有害事象は認められていません。最も良好な結果は、GSKのアジュバントと最も高い濃度の抗原とを組み合わせた群で認められ、被検者の88%に中和抗体が示されました。抗体陽転率は18~49歳の被検者で89.6%、50歳以上で85%、60歳以上で62.5%を示しました。

第1/2相臨床試験は、無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験で、COVID-19ワクチン候補の安全性、副反応、免疫原性(免疫応答)を評価します。米国の10か所の治験実施医療機関において、計440人の健康な成人が本試験に参加しています。被検者は、21日間の間隔を空けてワクチン候補もしくはプラセボを1回または2回接種します。

第1/2相臨床試験の結果は、すべてのデータが揃い次第、査読のプロセスを経て公開されます。

最新の前臨床試験結果
高病原性の抗原をヒト以外の霊長類に接種した最新の前臨床試験では、ワクチン候補が肺を病理学的に保護し、2~4日以内に鼻腔や肺においてウイルスを減らす高い能力が示されました。この前臨床試験の結果から、抗原組成を最適化したワクチン候補は強力にウイルス増殖を抑えることが確認されました。 これらのデータは、査読を経た公開に向け、準備が進められています。

COVID-19に対するGSKの取り組み
GSKのCOVID-19に対する取り組みは、業界内でも最も広汎に及ぶものであり、このワクチンに加え、2つの治療薬の開発を実施しています。

GSKは、アジュバント技術を提供することにより、COVID-19ワクチンの開発に取り組む企業や研究機関と協働しています。サノフィとの協働に加え、メディカゴ社やClover Biopharmaceuticals社との、アジュバント添加タンパク質ベースのワクチン候補も後期臨床試験に進んでいます。アジュバントの使用は、パンデミックの状況下では特に重要です。アジュバントを使用することにより、1回の接種に必要な抗原の量が抑えられるため、ワクチンの生産量を増やすことができ、より多くの人々を守ることに貢献できます。GSKは、パンデミックの状況下で、COVID-19ワクチンに関する協働から利益を得ることを意図しておりません。利益が得られた場合でも、GSK独自または外部パートナーを介したコロナウイルス関連の研究および長期的なパンデミック対策の支援に投資いたします。

またGSKは、COVID-19患者さんのために、潜在的な治療法や治療選択肢の探索にも取り組んでいます。GSKはVir Biotechnology社と共同で、COVID-19の治療法や予防法として使用可能な既存の抗ウイルス抗体の開発や新規抗ウイルス抗体の同定に取り組んでいます。また、モノクローナル抗体であるオチリマブが、入院や死亡に至る危険性のある免疫系の過剰反応を起こしたCOVID-19患者さんの治療に効果があるかどうかを評価しています。

サノフィについて
サノフィは、健康上の課題に立ち向かう人々を支えます。私たちは、人々の健康にフォーカスしたグローバルなバイオ医薬品企業として、ワクチンで人々を守り、革新的な医薬品で痛みや苦しみを和らげます。希少疾患をもつ少数の人々から、慢性疾患をもつ何百万もの人々まで、寄り添い支え続けます。サノフィでは、100カ国において10万人以上の社員が、革新的な医科学研究に基づいたヘルスケア・ソリューションの創出に、世界中で取り組んでいます。

サノフィは、「Empowering Life」のスローガンの下、ヘルスジャーニー・パートナーとして人々を支えます。日本法人であるサノフィ株式会社の詳細は、https://www.sanofi.co.jp/ をご参照ください。

GSKについて
GSKは、より多くの人々に「生きる喜びを、もっと」を届けることを存在意義とする科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報については https://jp.gsk.com/ をご覧ください。