GSK、Gepotidacinの良好な第III相臨床試験「EAGLE-1試験」結果を発表 ~泌尿生殖器の単純性淋菌感染症の既存治療に対する耐性が強まる中、gepotidacinが新規の経口抗菌薬となる可能性を示す~

この資料は、英国GSK plcが2024年4月17日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2024年4月17日 英国ロンドン発>

GSK、Gepotidacinの良好な第III相臨床試験「EAGLE-1試験」結果を発表
~泌尿生殖器の単純性淋菌感染症の既存治療に対する耐性が強まる中、gepotidacinが新規の経口抗菌薬となる可能性を示す~

  • Gepotidacinは92.6%の細菌学的成功率を達成し、主要な併用療法に対して非劣性を示した

  • EAGLE-1試験はgepotidacinの良好な結果を示した3つ目の第III相試験であり、gepotidacinは感染症治療薬ポートフォリオで業界をリードするGSKの新規作用機序を有する経口抗菌薬候補

  • 本結果は欧州臨床微生物感染症学会(ESCMID Global)にて発表予定

GSK(本社:英国)は、成人および青年期における泌尿生殖器の単純性淋菌感染症に対する新規作用機序を有する経口抗菌薬候補であるgepotidacinの主要な第III相試験、EAGLE-1試験において、良好な結果が得られたことを発表しました。本試験データは、2024年4月30日にスペインのバルセロナで開催される欧州臨床微生物感染症学会(European Society of Clinical Microbiology and Infectious Diseases:ESCMID Global)で発表されます。

EAGLE-1試験の主要評価項目は、治療開始3~7日後の治癒判定(Test-of-Cure:ToC)来院時の細菌学的奏効(原因菌である淋菌除去の成功または失敗)です。本試験では、細菌学的成功率は、淋菌の主要な併用療法レジメンであるセフトリアキソン(500mgを筋肉内投与)とアジスロマイシン(1,000mgの経口投与)の併用療法が91.2%であったのに対し、gepotidacin(3,000mgを2回経口投与)は92.6%と、gepotidacinの併用療法に対する非劣性が示されました。

EAGLE-1試験におけるgepotidacinの安全性および忍容性プロファイルは、第I相および第II相試験の結果と一致していました。Gepotidacinが投与された被験者で最も多く報告された有害事象では胃腸障害がみられました。各投与群で関連のない重度(Grade3)の事象が1件、またgepotidacin投与群で関連のない重篤な事象が1件発現したのを除き、有害事象はいずれも軽度または中等度(Grade1または2)でした。

世界では、年間8,200万例の淋病の新規症例数が推定されています1。米国では、淋病の報告率は2009年から2021年にかけて118%増加し2、2022年には648,056例が米国疾病対策予防センター(CDC)に報告されました3。また、CDCによると、米国での淋菌症例の約半数が1種類の抗菌薬に耐性を示すとしています4

GSKの開発部門シニアバイスプレジデントのクリス・コルシコ(Chris Corsico)は次のように述べています。
「薬剤耐性感染を含む世界的な淋菌感染の発生率の上昇を踏まえると、これらの結果は、新たな経口抗菌薬としてのgepotidacinの可能性を示しています。革新的な治療の必要性はかつてないほど明らかです。私たちは、世界各国の保健規制当局と連携し、患者さんの重要なニーズを満たす解決策に重点を置いて、この新規抗菌薬候補を提供するために取り組んでまいります。」

淋病は、世界保健機関が優先病原体としている淋菌(Neisseria gonorrhoeae)を起炎菌とする性感染症です。男女を問わず罹患し、治療が不十分な場合は、不妊症および他の性と生殖に関する健康障害につながる可能性があります。また、HIV感染のリスクの上昇にもつながります。

GSKは、単純性尿路感染症(uncomplicated urinary tract infection:uUTI)の治療薬候補としてのgepotidacinの開発も進めています。2023年4月に開催された欧州臨床微生物感染症学会(European Congress of Clinical Microbiology and Infectious Diseases:ECCMID)では、第III相試験のEAGLE-2試験とEAGLE-3試験の良好なデータが発表され、その後医学誌「The Lancet」に掲載されました5。承認されれば、gepotidacinは、uUTIに対する経口抗菌薬の新規クラスとして20年以上ぶりの承認薬になります。EAGLE-1試験は、gepotidacinの主要な試験として良好な結果が得られた3つ目の試験です。

Gepotidacinの開発は、米国保健福祉省の戦略的準備・対策局の生物医学先端研究開発局(Biomedical Advanced Research and Development Authority:BARDA)のフェデラルファンド(契約番号HHSO100201300011C)および米国国防総省の国防脅威削減局のフェデラルファンド(契約番号HDTRA1-07-9-0002)より一部または全部に資金提供を受けて行われています。

EAGLE(Efficacy of Antibacterial Gepotidacin Evaluated)第III相プログラムについて
成人および青年期の患者さんを対象としたgepotidacinの国際共同第III相臨床プログラム(現時点で完了)は、3つの試験で構成されています。

EAGLE-1試験(泌尿生殖器の淋菌感染症、非劣性試験)は、単純性淋菌感染症患者さん約600例を対象として、gepotidacinの有効性と安全性を、セフトリアキソンとアジスロマイシンの併用と比較しています。

EAGLE-2試験およびEAGLE-3試験(uUTI、非劣性試験)は、gepotidacin(1500mgを1日2回5日間経口投与)の有効性と安全性をニトロフラントイン*(100mgを1日2回5日間経口投与)と比較しています。いずれの試験も治験期間は約28日間です。主要評価項目は、ニトロフラントイン*に感性の適格な尿路病原細菌を有する患者さんでのToC来院時(Day10~13)の臨床的消失および細菌学的消失を指標とした複合評価項目です。(*本邦承認だが現在販売中止)

Gepotidacinについて
Gepotidacinは、GSKの科学者により発見され開発が進められている抗菌薬です。他の抗菌薬とは異なる作用機序によって細菌のDNA複製を阻害する、新規の作用機序を有するトリアザアセナフチレン骨格の抗菌薬であり、2つの異なるII型トポイソメラーゼ酵素に結合してバランスよく阻害します。これにより、既存薬への耐性を示す分離株を含む、ほとんどの尿路病原細菌(大腸菌株および腐性ブドウ球菌株など)や淋菌に対して抗菌活性を示します。また、gepotidacinは、2つの標的酵素にバランスよく結合し阻害することから、病原菌株がgepotidacinに対する耐性を獲得するためには、両酵素の変異が必要となります。

GSKの感染症領域における取り組み
GSKは、70年以上にわたり感染症領域でのイノベーションをリードしており、当社の医薬品およびワクチンのパイプラインは、業界最大かつ最も多様なもののひとつです。GSKは、イノベーション、アクセス、適正使用における専門知識と能力をもとに、抗菌薬耐性の予防や軽減という課題に取り組んでいます。抗菌薬ではgepotidacinに加え、Spero Therapeutics Inc.社との間で、複雑性尿路感染症(complicated urinary tract infections:cUTI)の治療薬候補として開発後期段階の抗菌薬であるテビペネムHBrをパイプラインに追加する独占的ライセンス契約を2022年9月に締結しました。また、SCYNEXIS社との間で、外陰腟カンジダ症(vulvovaginal candidiasis:VVC)の治療およびVVCの再発率低下を適応としたファーストインクラスの抗真菌薬Brexafemme(ibrexafungerp錠)に対する独占的ライセンス契約を2023年3月に締結しました。

グラクソ・スミスクライン(GSK)について
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1 World Health Organisation, Multi-drug resistant gonorrhoea.Available at: https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/multi-drug-resistant-gonorrhoea
2 CDC data on file.
3 CDC, Sexually Transmitted Infections Surveillance.Available at: https://www.cdc.gov/std/statistics/2022/default.htm#:~:text=In%202022%2C%20more%20than%202.5,from%20all%20STI%20prevention%20partners
4 Centers for Disease Control and Prevention.Combating the Threat.Available at: https://www.cdc.gov/std/gonorrhea/drug-resistant/carb.htm#:~:text=There%20are%20more%20than%20500%2C000%20reported%20cases%20of,year%20are%20resistant%20to%20at%20least%20one%20antibiotic.
5 The Lancet, Oral gepotidacin versus nitrofurantoin in patients with uncomplicated urinary tract infection (EAGLE-2 and EAGLE-3): two randomised, controlled, double-blind, double-dummy, phase 3, non-inferiority trials, available at: https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(23)02196-7/abstract