GSK、50歳以上の成人を対象とした「シングリックス」の臨床試験で、10年以上の帯状疱疹に対する予防効果が示されたことを発表

この資料は、英国GSK plcが2024年4月17日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。
詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2024年4月17日 英国ロンドン発>

GSK、50歳以上の成人を対象とした「シングリックス」の臨床試験で、10年以上の帯状疱疹に対する予防効果が示されたことを発表

  • ワクチン接種後6~11年の長期追跡調査終了時において、50歳以上で79.7%のシングリックスの有効性が示された1

  • 初回接種後11年目では82.0%のシングリックスの有効性が示された1

  • 追跡調査中、新たな安全性の懸念事項は認められなかった1

GSK(本社:英国)は、帯状疱疹予防ワクチン「シングリックス(遺伝子組換え帯状疱疹ワクチン)」の初回ワクチン接種後最長約11年間追跡調査したZOSTER-049試験(非盲検長期追跡調査試験)において、良好な結果が得られたことを発表しました。本最終データから、50歳以上の成人において、シングリックスが帯状疱疹に対する10年以上の予防効果をもつことが明らかになりました。本データは、スペインのバルセロナで開催される欧州臨床微生物感染症学会(European Society of Clinical Microbiology and Infectious Diseases:ESCMID、旧ECCMID、2024年4月27~30日)で発表されます1

50歳以上を対象とした2つの第III相臨床試験(ZOE-50試験とZOE-70試験)の延長試験であるZOSTER-049試験から次の結果が得られました1

  • 50歳以上における接種後6~11年の有効性は79.7%(95%CI 73.7~84.6)であった
  • 50歳以上における接種後11年目の有効性は82.0%(95%CI 63.0-92.2)で、接種後各年においても有効性が示された
  • 70歳以上における接種後6~11年の有効性は73.1%(95%CI 62.9~80.9)で、50歳以上の全年齢群において有効性が示された

スペインのバレンシア州保健・生物医学研究促進財団(FISABIO)の治験責任医師であるDr. Javier Díez-Domingoは次のように述べています。
「このたびの最終データは、50歳以上と70歳以上のいずれの年齢群でも、シングリックスの接種後10年以上にわたって帯状疱疹の予防効果があることを示しています。帯状疱疹は、免疫機能の低下により、成人に重大なリスクをもたらす可能性がある感染症であり、本データは、この疾患に対する効果的な予防を長期的に達成することの理解を著しく促進させるものです。」

GSKのシニアバイスプレジデントで、ワクチンR&D部門長のフィリップ・ドルミツァー(Philip Dormitzer)は次のように述べています。
「これらのデータは、70~90歳代に達した被験者も含むシングリックスの有効性を追跡した試験から得られており、これは、一般的な治験の長期追跡調査の期間をはるかに超えたものです。現在、シングリックスは、世界中の多くの国の予防接種プログラムに含まれています。今回の結果は、帯状疱疹の長期的な予防効果に関するエビデンスになるとともに、公衆衛生上の予防接種戦略としてさらなる信頼性を提供することにつながります。」

世界では3人に1人が生涯に帯状疱疹を発症するといわれています2,3,4,5。高齢や免疫不全または免疫抑制6、そしてCOPD、糖尿病、喘息をはじめとする慢性疾患など7様々な要因によって帯状疱疹の発症リスクが高まります。帯状疱疹は、通常、胸部、腹部または顔面に痛みを伴う発疹が現れ8、その痛みはズキズキとした痛み、灼熱感、刺すような痛みと表現されることがあります2。発疹が消えた後、帯状疱疹の全症例の最大30%において、帯状疱疹後神経痛(post-herpetic neuralgia:PHN)とよばれる神経痛が発現し9、数週間から数カ月、あるいは数年間持続する場合もあります2。また、帯状疱疹は医療費や人的コストに大きな影響を及ぼし、帯状疱疹患者さんの57%において平均9.1日間の欠勤が報告されています10

わたしたちは、引き続き長期データの評価を行い、帯状疱疹の発症リスクが最も高い人々を含む対象集団でワクチンの有効性、免疫原性、安全性に関する実臨床試験を実施し、再接種の潜在的な必要性を評価していきます。

ZOSTER-049試験について1
ZOSTER-049試験は、2つの主要な第III相ランダム化臨床試験(ZOE-50とZOE-70)からの非盲検長期追跡調査試験です。本試験では、ワクチン接種時50歳以上だった方を対象に、ZOE-50とZOE-70試験の完了後、さらに6年間、最長で11年にわたり有効性、安全性、免疫原性を評価しています。ZOSTER-049試験では、5大陸18カ国から7,000名以上の被験者を組入れ、ワクチン接種者を既存対照と比較しました。

ZOSTER-049試験の追跡調査期間中に、新たな安全性の懸念事項は特定されませんでした。ワクチン接種との因果関係が否定できないと判断された重篤な有害事象はありませんでした。50歳以上でみられたワクチンの主な副反応は、注射部位疼痛、筋肉痛、疲労、頭痛でした。ただしこれら副反応のほとんどは軽度~中等度であり、持続期間はおおむね3日未満でした11

帯状疱疹について
帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルスが体の中で再活性化することで発症する皮膚の病気です2。50歳以上のほとんどは水痘・帯状疱疹ウイルスがすでに体内に潜んでいる可能性があり12、加齢に伴い、これが再活性化する可能性があります8。加齢に伴い、感染に対する免疫系の反応力が低下するため、帯状疱疹の発症リスクが高まります2

シングリックスについて
シングリックス(遺伝子組換え帯状疱疹ワクチン)は、生ワクチンではない遺伝子組換え型のサブユニットワクチンで、50歳以上の成人の帯状疱疹の予防を適応としています。抗原である糖タンパクEおよびAS01Bというアジュバントシステムを組み合わせたものであり、帯状疱疹の発症リスクである加齢に伴う自然な免疫低下に寄与する可能性があります13,14。なお、水痘の一次感染(水ぼうそう)の予防効能は有していません。また、日本も含む一部の国では、帯状疱疹の発症リスクが高いと考えられる18歳以上を対象として承認を取得しています。

グラクソ・スミスクライン(GSK)について
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1 Diez-Domingo J, et al. Adjuvanted recombinant zoster vaccine (RZV) is the first vaccine to provide durable protection against herpes zoster (HZ) in all age ranges ≥50 years: final analysis of efficacy and safety after 11 years (Y) of follow-up. Abstract presented at European Congress of Clinical Microbiology and Infectious Diseases (ESCMID); 27-30 April 2024, Barcelona, Spain.
2 Harpaz R, et al. Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP), Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Prevention of herpes zoster: recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP). MMWR Recomm Rep. 2008;57(RR-5):1-30.
3 Australian Institute of Health and Welfare. Shingles in Australia. Available at: https://www.aihw.gov.au/getmedia/759199ff-f5c8-421d-a572-aaa984a02b49/aihw-phe-236_shingles.pdf.aspx Last Accessed: April 2024.
4 Lee C, et al. Lifetime risk of herpes zoster in the population of Beijing, China. Public Health Pract (Oxf). 2023;5:100356.
5 Curran D, et al. Meta-Regression of Herpes Zoster Incidence Worldwide. Infect Dis Ther. 2022;11(1):389-403.
6 Chen S-Y, et al. Incidence of herpes zoster in patients with altered immune function. Infection. 2014; 42: 325-334.
7 Marra F, et al. Risk Factors for Herpes Zoster Infection: A Meta-Analysis. Open Forum Infect Dis 2020;7(1):ofaa005.
8 Mueller, N.H., et al. Varicella zoster virus infection: clinical features, molecular pathogenesis of disease, and latency. Neurologic clinics. 2008;26(3):675-97.
9 Kawai, K., et al. Systematic review of incidence and complications of herpes zoster: towards a global perspective. BMJ open. 2014;4(6).
10 Rampakakis E, Stutz M, Kawai K, Tsai TF, Cheong HJ, Dhitavat J, et al. Association between work time loss and quality of life in patients with Herpes Zoster: a pooled analysis of the MASTER studies. Health and Quality of Life Outcomes. 2017;15(1).
11 Grading of Recommendations, Assessment, Development, and Evaluation (GRADE): Use of Recombinant Zoster Vaccine in Immunocompromised Adults Aged ≥19 Years. Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Available from: https://www.cdc.gov/vaccines/acip/recs/grade/recombinant-zoster-immunocompromised.html. Last Accessed: April 2024
12 Johnson, R.W., et al. Herpes zoster epidemiology, management, and disease and economic burden in Europe: a multidisciplinary perspective. Therapeutic advances in vaccines. 2015;3(4):109-20.
13 Cunningham, AL, et al. Efficacy of the Herpes Zoster Subunit Vaccine in Adults 70 Years of Age or Older. New England Journal of Medicine. 2016;375(11):1019-32.
14 The GSK proprietary AS01 adjuvant system contains QS-21 Stimulon® adjuvant licensed from Antigenics LLC, a wholly owned subsidiary of Agenus Inc. (NASDAQ: AGEN), MPL and liposomes.