GSK、HER2陽性、HR陰性の転移性乳癌患者に対する Tyverb™(ラパチニブ)とトラスツズマブの併用療法で 欧州委員会の販売承認を取得

この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2013年8月14日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細はhttp://www.gsk.comをご参照下さい。

2013年8月14英国ロンドン発

グラクソ・スミスクライン(以下、GSK)は、欧州委員会がTyverb™(ラパチニブ)とトラスツズマブの併用について新たな適応症を認可したと発表しました。この併用療法は、HER2(ErbB2)過剰発現を示し、ホルモン受容体が陰性(HR-)の転移性乳癌の成人患者で、過去にトラスツズマブと化学療法を併用したが、癌が進行した患者を適応とします1

「本日の発表はこうした特定のタイプの転移性乳癌を有する女性にとって重要であり、新たな治療選択肢をもたらすことになります。Tyverb™とトラスツズマブの併用(化学療法フリー:化学療法を施行しない)は、このような患者さんの治療や生存期間によい影響をもたらす可能性があります。」と、GSK OncologyのPresident、Paolo Paolettiは述べています。

トラスツズマブを含む併用療法で病勢が進行したHER2陽性転移性乳癌患者を対象として、ラパチニブ+トラスツズマブ併用療法とラパチニブ単剤療法を比較する無作為化非盲検第3相試験、EGF104900試験において、併用療法が検討されました2a。この試験の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)とし、全生存期間(OS)を副次評価項目としました2

この度の新たな適応症の承認は、EGF104900試験においてHER2陽性、HR陰性転移性乳癌患者集団で得られた全生存期間(OS)の結果に基づくものです。この事後サブグループ解析により、以下のことが示されました3

  • ラパチニブとトラスツズマブの併用により、全生存期間の中央値がラパチニブ単剤療法に比べて8.3ヵ月延長しました(17.2ヵ月と8.9ヵ月、n=150、ハザード比[HR]=0.62、95%信頼区間0.42、0.90)1

欧州またはその他の国において単剤療法としてのラパチニブの使用は許可されていないのでご注意ください。

EGF104900試験では、有害事象(AE)の発現率は両群で同等でした(94%と90%)。試験中に認められた発生頻度の高かった副作用(25%以上)は、下痢および悪心でした。患者の10%以上に発現したその他の有害事象として、疲労、嘔吐、発疹、呼吸困難、食欲不振および頭痛がありました。下痢、心機能低下および肝胆道系障害などの重篤な有害事象を発現した患者は26%でした1

投与中止に至った有害事象を発現したのは、ラパチニブとトラスツズマブ併用投与群で17例(11%)、ラパチニブ単剤投与群で9例(6%)でした。合計6例の患者が死亡に至った重篤な有害事象を発現しました。このうち1例(併用療法群で認められた肺塞栓症の可能性例、ただし未確定)は、治験薬投与と関連ありと判定されました。心毒性の発現率上昇が認められましたが、これらの事象は性質および重症度ともにラパチニブ臨床プログラムで報告されたものと類似していました。これらのデータは、主要試験において患者149例に対し上記併用療法を施行した結果に基づくものです1

HER2受容体に対する垂直二重阻害(Vertical Dual Blockade of the HER2 receptor)とは
細胞膜の内側と外側から同じHER2受容体を標的とする2剤併用(二重)は、垂直二重阻害(Vertical Dual Blockade)として知られています。

  • トラスツズマブは、HER2受容体の細胞外ドメインに結合するモノクローナル抗体です4
  • 一方、ラパチニブは、これと同じHER2受容体のキナーゼ活性を細胞内で阻害します4

同じ受容体の細胞外ドメインと細胞内ドメインの両方を標的とすること(垂直二重HER2阻害:Vertical Dual HER2 Blockade)によって、補完的な作用機序が実現される可能性があり、単剤では得られない効果的な経路阻害が期待されます4

Tyverb™(ラパチニブ)とは
ラパチニブは、HER1(ErbB1またはEGFR)およびHER2(ErbB2)受容体のチロシンキナーゼコンポーネントを阻害する、低分子の経口剤です。HER1およびHER2の刺激は細胞増殖に関連するほか、腫瘍の進行、浸潤および転移に関与する多数のプロセスにも関連しています。これら受容体の過剰発現は様々なヒト腫瘍において報告されており、予後不良や全生存期間の短縮との関連も認められています1

ラパチニブは、転移性乳癌におけるカペシタビンとの併用療法として2007年に初めて承認され、現在では米国、欧州、オーストラリア、インド、ブラジル、ロシア、トルコ、韓国など、世界の107ヵ国で承認されています。
ラパチニブとトラスツズマブ併用療法の使用が許可されているのは、欧州、フィリピン、ロシアおよびタイのみです。

安全性情報
心毒性:ラパチニブの使用に伴って左室駆出率(LVEF)低下が報告されています。症候性心不全患者を対象としたラパチニブの評価は実施されていません。左室機能に障害が生じる可能性のある病態を有する患者にラパチニブを投与する場合には、慎重に投与してください(心毒性の可能性のある医薬品との併用を含む)。ラパチニブによるQT間隔延長の可能性を評価することを主要目的とした試験は実施されていません。進行癌患者を対象としたラパチニブの非対照非盲検用量漸増試験では、濃度依存性のわずかなQTc間隔延長が認められたため、QT間隔に対する影響を否定することはできません1
間質性肺疾患および肺臓炎:間質性肺疾患および肺臓炎など、ラパチニブの使用に伴って肺毒性が報告されています1
肝毒性:ラパチニブの使用に伴って肝毒性が認められており、まれに死亡に至る場合もあります。肝毒性は、投与開始の数日後から数ヵ月後にあらわれるおそれがあります1
下痢:ラパチニブの投与に伴って、下痢(重度の下痢を含む)が報告されています。下痢は、脱水、腎機能不全、好中球減少症および/または電解質失調を伴う場合には生命を脅かすおそれがあり、死亡例も報告されています1

ラパチニブとトラスツズマブの併用療法の使用法や安全性プロファイル(日常的なモニタリングやその他の管理要件を含む)に関する詳細情報は、製品特性概要に記載されています。製品特性概要は、European Public Assessment Report(欧州公開医薬品審査報告書)とともに欧州医薬品庁(EMA)のウェブサイト(http://www.ema.europa.eu)で閲覧できます。また、製品特性概要はCommunity Register of Medicinal Products on the European Commission(欧州委員会承認医薬品リスト)のウェブサイト( http://ec.europa.eu/health/documents/community-register/html/index_en.htm)でも閲覧できます。

HER2陽性転移性乳癌とは
転移性乳癌とは、乳房から身体の他の部位へと広がった乳癌であり、女性における最も一般的な浸潤癌です5。転移性乳癌は女性における浸潤癌の5分の1以上を占めており、女性のあらゆる癌の16%が転移性乳癌です5。転移性乳癌の予後は不良である場合が多く、乳癌による死亡の約90%では遠隔転移が死因となっています6。乳癌の約15~30%はHER2陽性であり7、HER2遺伝子の増幅は、生物学的悪性度および予後悪化に関連しています8。HER2陽性乳癌の臨床的特徴として、多くの場合、低分化型で高悪性度の腫瘍、リンパ節への転移、細胞増殖速度の増加、また、ある種の化学療法に対する相対耐性が認められます。以上のことから、HER2は重要な治療標的となっています9

注記:
タイケルブ™は、米国のグラクソ・スミスクライン・グループ、および、欧州以外の諸国におけるグラクソ・スミスクライン・グループの登録商標です。
Tyverb™は欧州連合におけるグラクソ・スミスクライン・グループの登録商標です。

 

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1 Tyverb™ EU Label. 
2 Blackwell KL, Burstein HJ, Storniolo AM, et al. (2010) Randomized study of Lapatinib alone or in combination with trastuzumab in women with ErbB2-positive, trastuzumab-refractory metastatic breast cancer. J Clin Oncol. 28:1124–1130.
3 Blackwell KL, Burstein HJ, Storniolo AM, et al. Overall Survival Benefit with lapatinib in Combination with Trastuzumab for patients with Human Epidermal Growth Factor Receptor 2-Positive Metastatic Breast Cancer: Final Results From the EGF 104900 Study.
5 The World Health Organization. Breast Cancer: Prevention and Control. Retrieved May 16, 2012.http://www.who.int/cancer/detection/breastcancer/en/index1.html
6 Wang, Yingqun. Breast cancer metastasis driven by ErbB2 and 14-3-3. Cell Adh Migr. 2010 Jan-Mar; 4(1): 7-9.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2852551/
7 American Cancer Society. Breast Cancer Facts & Figures 2011-2012. Atlanta: American Cancer Society, Inc. Downloaded from www.cancer.org on July 17, 2013. 
8 BreastCancer.org. HER2Status. Retrieved July 11, 2013.http://www.breastcancer.org/symptoms/diagnosis/her2
9 Burstein, HJ. The distinctive nature of HER2-positive breast cancers. N Engl J Med. 2005;353(16).