マラリアワクチン候補RTS,S* アフリカの生後5カ月-17カ月の乳幼児の半数でマラリア感染リスクが削減 進行中のフェーズ3臨床試験の最初の結果で示される

マラリアワクチン候補RTS,Sの大規模フェーズ3臨床試験の最初の結果が2011年10月18日にNew England Journal of Medicine (NEJM)オンライン版に掲載されました。その結果によると本ワクチン候補は、安全性・認容性が良好で、アフリカの乳幼児において臨床および重症マラリアに対する高い予防効果が示されました。

この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2011年10月18日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細はhttp://www.gsk.comをご参照下さい。

<報道参考資料>
2011年10月18日英国ロンドン発

世界の人口の半分がマラリアのリスクにさらされています。マラリアが原因で毎年800,000人が命を落としており、その大半がサハラ以南のアフリカ諸国の5歳以下の子供です。

マラリアワクチン候補RTS,Sの大規模フェーズ3臨床試験の最初の結果が2011年10月18日にNew England Journal of Medicine (NEJM)オンライン版に掲載されました。その結果によると本ワクチン候補は、安全性・認容性が良好で、アフリカの乳幼児において臨床および重症マラリアに対する高い予防効果が示されました。結果は、同日にワシントン州シアトルで開催されたビル&メリンダ・ゲイツ財団主催のマラリア・フォーラムで発表されました。

生後5カ月から17カ月の乳幼児における結果

サハラ以南のアフリカ7カ国の11の施設で実施された臨床試験では、RTS,Sを3回接種した結果、乳幼児において臨床マラリアおよび重症マラリアのリスクをそれぞれ56%と47%削減したことが示されました。この分析は、生後5カ月から17カ月の乳幼児の最初の6,000人において本ワクチンの接種後1年間にわたり得られたデータを元に解析されました。臨床マラリアは、高熱と寒気を伴います。血液、脳、腎臓への重篤な影響を及ぼし死に至ることもある重症マラリアに急速に進行する可能性があります。今回のフェーズ3臨床試験の最初の結果は、これまでのフェーズ2臨床試験結果と合致したものでした。

本臨床試験が殺虫剤塗布蚊帳が幅広く使用されている(75%)中で行われたことからRTS,Sは、既に実施されている既存のマラリア対策に加えて予防効果をもたらすことが示されました。

生後6週間から12週間の乳児について

臨床試験は進行中で、生後6週間から12週間の乳児における有効性および安全性に関する結果は2012年末までに入手する予定です。これらのデータにより、本週齢群におけるRTS,Sの臨床マラリアおよび重症マラリアの両方に対する有効性に関する理解を深めることができます。

生後6週間から12週間および生後5カ月から17カ月の乳幼児における総合データ

本臨床試験に参加した生後6週間から17カ月の乳幼児15,460人全てにおいてこれまで報告された重症マラリア事象の分析が行われました。本分析によると、0カ月から22カ月(平均11.5カ月)にわたる追跡期間(平均11.5カ月)の中で35%の有効性が示されました。

長期的な有効性について

RTS,Sマラリアワクチン候補は、まだ開発中です。3回目の接種後から30カ月間にわたる長期的な有効性に関しては、2014年末にデータを入手する予定です。これにより、各国の公衆衛生局および規制当局がRTS,Sのベネフィットとリスクを評価することが可能となります。

安全性について

本臨床試験の重篤な有害事象**の全体の発症率は、RTS,S接種群(18%)とプラセボ接種群(22%)との間で同程度でした。

発作や髄膜炎など特定の重篤な有害事象の発症率は、RTS,S接種群とプラセボ接種群との間に差がみられ、RTS,S接種群の方で多く見られました。発作は、発熱に関連する事象とみなされ、髄膜炎はワクチンに関連する可能性が低いとみなされました。これらの事象は、引き続きモニターされると共に、RTS,Sの安全性に関するさらなる情報は、今後3年間で入手される予定です。

本臨床試験の首席治験医師でクリニカル・トライアル・パートナーシップ・コミッティーの議長であるTsiri Agbenyega氏は、次の通り述べています。「生後5カ月から17カ月における今回の最初の結果発表は、RTS,Sの開発において重要なマイルストーンとなりました。これらの結果は、これまでのフェーズ2臨床試験結果を確認するもので、このマラリアワクチン候補の開発を進める取り組みを支持するものです。私自身、25年以上もの間マラリアを研究してきましたが、マラリアとの闘いに前進する難しさをよく知っています。残念なことに、多くの人々は、マラリアがアフリカの日常生活の一部であるとあきらめてしまっています。しかし、そうある必要はないのです。マラリアに対する国際コミュニティーの新たな関心と、本日発表された科学的エビデンスは、マラリアを管理することができるという新たな期待をもたらすことでしょう。」

グラクソ・スミスクラインのアンドリュー・ウィティーCEOは、次の通り述べています。「これらのデータは、世界初のマラリアワクチンの登場が間近にあることを表しています。このワクチンにより、アフリカのマラリア流行地域に住む子供たちの将来の見通しが大幅に向上する可能性があるのです。蚊帳や殺虫剤の散布など既存のマラリア対策にマラリアワクチンが加われば、数百万人の人々を、この身体を衰弱させてしまう疾患から守ることができるかもしれません。また、病院の負担を軽減させ、マラリアによる入院患者を減らすことにより、多くの場合医療へのアクセスがわずか、もしくは全くない遠隔地の村に住む他の患者さんに、必要としているベッドを提供し、治療を行うことができるようになるかもしれないのです。今日発表された結果は、世界の多くの方々と連携して開発に取り組んできたRTS,Sの共同発明者であるジョー・コーエン氏を含むGSKのジャン・ステファン氏が率いるワクチン・チームの熱意と執念の証です。ワクチン開発は、任務の半分にすぎませんが、グラクソ・スミスクラインは、今後もマラリアの研究に取り組んでいきますし、最も重要なこととして本ワクチンがそれを必要としている人たちに確実に届くよう取り組んでいきます。」

PATHのプレジデントおよびCEOのChristopher Elias氏は、次の通り述べています。「この臨床試験は、質の高い科学技術によってマラリアを管理し、いずれは撲滅できるかもしれないということを顕著に表わす例です。本日発表されたデータは、有望で良いニュースですが、人々にもたらす影響も忘れてはなりません。PATH Malaria Vaccine Initiative(PATHマラリアワクチンイニシアチブ)の使命は、アフリカの子供たちにワクチンを届けることであり、お母さんたちがぐったりとした赤ちゃんを小児科病棟に連れていくのではなく、賑やかな学校の校庭を通り過ぎて活気あふれるクリニックに連れていき、予防接種を受けられるようにすることです。私たちは、このビジョンの実現へ一歩近づくことができました。そして、このワクチンをアフリカの子供たちに届けるために各パートナーと共に引き続き取り組んで行くことを期待しています。」

ビル&メリンダ・ゲイツ財団の共同議長であるビル・ゲイツ氏は、次の通り述べています。「ワクチンは、人々の命を救う最も簡単でコスト効果の高い方法です。今回の結果は、数百万人の子供たちをこの深刻な疾患から守る可能性を持つマラリアワクチンの開発に、パートナーと連携して取り組むことの強みを示しています。」

本ワクチンは、GSKおよびPATH Malaria Vaccine Initiative (MVI)のパートナーシップの下、アフリカの著名な研究センターと共に開発されています。各パートナーは、本臨床試験の実施の責任を持つクリニカル・トライアル・パートナーシップ・コミッティーに属しています。臨床開発の主な資金はビル&メリンダ・ゲイツ財団からMVIに提供された助成金から拠出されています。RTS,Sの開発には、広範囲に及ぶチームが引き続き取り組んでおり、これらには欧州、北米、アフリカの研究者が含まれています。本ワクチンを当局が承認し、世界保健機関(WHO)が奨励した場合、最もマラリアのリスクにさらされているアフリカの子供たちに使用される予定です。蚊帳や抗マラリア薬など他のマラリア対策と併せて使用される有効なワクチンの開発は、持続可能なマラリア管理を可能にする決定的な一歩となります。

RTS,Sのフェーズ3臨床試験は、本ワクチンの研究を超えて様々な影響をもたらしています。本臨床試験は、医療や病院施設の向上を通じて、本臨床試験を実施している施設が所在する多くのアフリカのコミュニティーに多大な貢献をしています。多くの研究センターではスタッフの研修や最先端のラボ・器具の提供、そして新たな施設の建築により、研究センターの研究能力が強化されました。研究能力の強化は、この先何年もの間、各研究センターがそのリーダーシップを拡大していき、マラリア治療や他の感染症治療の開発に引き続き取り組んでいくに当たり、それらの今後の活動の見通しを明るくするものです。

未来を見添えて

GSKとMVIは、本ワクチンが承認を取得しその使用が奨励された暁には、このワクチンを最も必要としている人々に提供できるよう取り組んでいきます。2010年1月にGSKは、RTS,Sの価格は、製造コストと約5%の少額な利益をもたらすよう最終的に設定され、その利益は、次世代のマラリアワクチン、あるいは他の顧みられない熱帯病に対するワクチンの研究開発に再投資されることを発表しました。

フェーズ3臨床試験の安全性・有効性データを含む必要な公衆衛生情報が十分であると判断された場合WHOは、RTS,Sを奨励する方針を早ければ2015年に示すことが可能としています。これが実現すれば、アフリカの各国における予防接種プログラムを通じた本ワクチンの大規模な導入への道が開かれることになります。

<参考>

RTS,Sについて

  • RTS,Sとは、本マラリアワクチン候補の科学的な名称のことで、本ワクチンの構成成分を表しています。RTS,Sは、熱帯熱マラリア原虫が初めてヒト宿主の血流に入る時に、また/あるいは原虫が肝細胞を感染する時に、免疫を刺激することで原虫からヒトを守ることを目的としています。本ワクチンは、マラリア原虫が肝臓に移行し、そこで成熟・増殖し、再度血流に入り赤血球への感染を予防するよう設計されています。赤血球に感染する時点でマラリアの症状が出始めます。

    RTS,Sは、ニューヨーク大学のRuth Nussenzweig博士とVictor Nussenzweig博士が最初に特定したタンパク質を基にしており、1980年代後半にベルギーに本社を置くGSKバイオロジカルズ社で開発・製造され、US Walter Reed Army Institute of Research(ウォルター・リード米陸軍研究所)との提携の一環として米国のボランティアに最初に接種されました。

    2001年にPATH Malaria Vaccine Initiative (MVI)は、サハラ以南のアフリカ諸国の幼児における本ワクチンの予防効果を調べるためにGSKとパートナーシップを組みました。その後、このパートナーシップは、11のアフリカの研究センターを含むまで拡大し、時によっては欧米の関連した科学機関をも含むようになっていきました。

    ビル&メリンダ・ゲイツ財団からの2億ドル以上の助成金でMVIは、RTS,Sの開発に財務・科学・管理・フィールドにおける各方面で専門知識を提供しています。GSKは、臨床開発と当局との話し合いをリードしており、これまで3億ドル以上を投資してきました。さらに本プロジェクトの完了まで5,000万ドルから1億ドルを投資する予定です。

本臨床試験について

  • 本臨床試験は、RTS,Sを承認申請する前の、乳幼児における有効性と安全性を大規模に評価する最終段階の一つに当たります。
    RTS,Sの開発に関わった各パートナーは、臨床試験の参加者の健康と安全を最も重要視しています。フェーズ3臨床試験は、当局とWHOと相談しながらデザインされ、安全性、倫理、臨床診療における最高の国際基準に則って、また独立したデータ・セーフティ・モニタリング・コミッティーの監督の下行われています。

 

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グラクソ・スミスクラインは、研究に基盤を置き世界をリードする、医薬品およびヘルスケア企業であり、人々が心身ともに健康でより充実して長生きできるよう、生活の質の向上に全力を尽くすことを企業使命としています。

 

<GSKバイオロジカルズ社について>

GSKバイオロジカルズ社は、革新的技術のリーダーとして認められている世界規模のワクチンメーカーです。同社では予防および治療用ワクチンの研究開発と製造に積極的に取り組んでおり、30種類以上のワクチンを販売し、さらに20種類以上を開発しています。GSKバイオロジカルズ社は、本社をベルギーに置き、全世界に14の生産拠点を戦略的に配置しています。2010年には、GSKバイオロジカルズ社は、先進国と途上国の179カ国に14.3億回分のワクチンを供給しました。
GSKバイオロジカルズ社では、世界中のすべての世代の人々の健康に貢献できる新しい画期的なワクチンを見出すための活動に専心しています。

<PATH マラリアワクチンイニシアチブ(MVI)について>

PATH マラリアワクチンイニシアチブ(MVI)は、PATHがビル&メリンダ・ゲイツ財団から提供された初期の助成金で設立したグローバルのプログラムです。MVIのミッションは、マラリアワクチンの開発を加速させ、それが途上国に確実に提供され人々がアクセスできるようにすることです。MVIのビジョンは、マラリアのない世界です。詳細は、www.malariavaccine.orgをご覧ください。

PATHは、世界のコミュニティーが長年にわたる不健康の悪循環から抜け出せるよう持続可能な、文化的に関連性のある解決策を見出すことに取り組んでいる国際非営利団体です。公的・民間セクターにおける多様なパートナーと連携することでPATHは、人々の考え方や行動を変えるための適切な医療技術や重要な戦略の提供に貢献しています。PATHの活動は、国際保健と福祉の向上を目的としています。詳細は、www.path.orgをご覧ください。

*RTS,Sには、Agenus Inc社 (NASDAQ: AGEN)の100%子会社であるAntigenics Inc社からライセンスされたQS-21 Stimulon®アジュバントをはじめMPLおよびリポソームが含有されています。

**重篤な有害事象とは、臨床試験中に発生した医療事象のことを言い、臨床試験の対象となっているワクチンに起因するか否かに関わらず死に至るもの、生命を脅かすもの、治療のため入院が必要なもの、永続的または重大な障害・機能不能に陥るものを言います。全ての重篤な有害事象は当局に報告されます。入院が必要なもの、永続的または重大な障害・機能不能に陥るものを言います。全ての重篤な有害事象は当局に報告されます。