グラクソ・スミスクライン 2018年第2四半期業績発表

この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2018年7月25日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細はhttp://www.gsk.comをご参照下さい。

2018年7月25日英国ロンドン発

グラクソ・スミスクライン 2018年第2四半期業績発表
売上(CERベース)、利益率、キャッシュフローの改善

一株当たり利益は9.0ペンス、AERベースで100%超増、CERベースで100%超増 調整後一株当たり利益は28.1ペンス、AERベースで3%増、CERベースで10%増
グラクソ・スミスクライン、研究開発に新アプローチを導入、2018年一株当たり利益のガイダンス更新

2018年第2四半期業績概要

  • グループ全体の売上は73億ポンド、AERベースは変化なし、CERベースで4%増。医療用医薬品は42億ポンド、AERベースで3%減、CERベースで1%増。ワクチンは13億ポンド、AERベースで13%増、CERベースで16%増。コンシューマー・ヘルスケアは18億ポンド、AERベースで1%減、CERベースで3%増。
  • グループ全体の調整後営業利益率は28.8%、AERベースで0.3%増、CERベースで0.8%増。医療用医薬品は35.3%、ワクチンは28.5%、コンシューマー・ヘルスケアは19.3%。
  • 調整後R&Dは8億6,800万ポンド、AERベースで18%減、CERベースで15%減であり、優先分野の絞り込みによる利益、2017年第2四半期のPriority Review Voucher(医薬品優先審査)の活用との比較、新規投資の段階的実施を反映。
  • 一株当たり利益合計は9.0ペンス(2017年第2四半期:一株当たり損失3.7ペンス)で、減損の減少、事業再編コストの低下、コンシューマー・ヘルスケア事業およびHIV事業の評価変更を反映。
  • 調整後一株当たり利益成長率は、AERベースで3%増、CERベースで10%増であり、営業レバレッジ、継続的な財務の効率化、2018年6月1日のコンシューマー・ヘルスケア事業の買収完了による小数株式の減少がけん引。
  • 2018年上半期のフリーキャッシュフローは8億ポンド(2017年上半期:4億ポンド)。
  • 2018年第2四半期の配当は19ペンス。2018年の年間配当は引き続き80ペンスの見込み。
  • 新たな主要事業再編プログラムにより、2021年までに年間4億ポンドの経費節減を実現する見込み。今後3年間の現金支出費用は8億ポンド、非現金支出費用は9億ポンドとなる見込み
  • 「アドエア」の代用可能なジェネリック競合品が2018年中に米国で導入されなければ、2018年調整後一株当たり利益成長率がCERベースで7~10%になる見込み。「アドエア」の代用可能なジェネリック競合品が10月1日から米国で導入された場合、2018年調整後一株当たり利益成長率はCERベースで4~7%になる見込み。

製品および開発パイプラインの進捗

  • Trelegyを含む、エリプタを使用した製品群の売上は5億900万ポンド、AERベースで20%増、CERベースで26%増。「ヌーカラ」の売上は1億4,100万ポンド、AERベースで93%増、CERベースで100%超増。
  • 「テビケイ」と「トリーメク」の売上は11億ポンド、AERベースで10%増、CERベースで15%増。新たに発売されたJulucaの売上は2,400万ポンド。
  • ドルテグラビルとラミブジンの2剤レジメンのGEMINI試験で良好な結果が出たことが、治療未経験患者に対する使用を後押し。
  • 「シングリックス」の売上は1億6,700万ポンド。2018年の売上は6億~6億5,000万ポンドになる見込み。

R&Dアップデート

  • R&Dの新アプローチが発表され、免疫システムに関連したサイエンスに注力し、遺伝学の活用、先端技術への投資を重視することが示された。
  • 23andMeとの戦略的協力が発表され、新たな遺伝学的知見を活用し、薬剤標的の選択および新薬の臨床開発の強化を行うことが示された。
  • GSKは現在、医薬品パイプラインに40を超える新規化合物を抱え、2018~2020年に大量の試験データを入手する予定。
  • HIVの2つの治療法(ドルテグラビルとラミブジン、カボテグラビルとリルピビリン)、GSKの最先端の癌治療薬2857916(BCMA抗体薬物複合体)を始めとする複数の製品が、2018~2020年に上市される見込み。
  • 4次治療を対象とした’916のピボタル試験を開始。標準治療との併用療法による最初の2次治療試験は2018年下半期に開始予定。
  • 三日熱マラリアの根治治療としてKrintafel (tafenoquine)が米国FDAの承認取得。

 

2018年第2四半期業績結果

  Q2 2018
成長率 H1 2018 成長率
  £m £% CER%  £m  £% CER%
売上 7,310 - 4 14,532 (1) 4
営業利益合計 779 >100 >100 2,019
19 39
一株当たり利益合計 9.0p

>100

>100

20.2p 14 41
調整後営業利益 2,102

1

7

4,025 (1) 8
調整後一株当たり利益 28.1p

3

10

52.7p 1 11
営業活動によるネットキャッシュ 1,362

35

  2,225 3  
フリーキャッシュフロー 492

>100

  821 >100  

全体の業績結果は42ページの「損益計算書」に、調整後業績結果の修正は19、27、64~67ページに記載されています。調整後の業績結果はIFRSに基づかない指標であり、株主が当グループの業績における主なトレンドや要因をより容易に把握できる内容となっています。IFRSに基づかない指標は、IFRSに基づき提示されている情報に加えて検討する性質のものであり、それに代わるまたはそれより優れているものではありません。£%、AER%成長率、CER%成長率、調整後業績結果、フリーキャッシュフローおよびその他のIFRSに基づかない指標の定義は39ページに記載されています。将来の業績に関する全ての見込みや目標は、40ページにある「2018年ガイダンスおよび2016~2020年見通しに関する前提条件」および「将来の見通しに関する記述についての前提条件および注意」と併せて読む必要があります。

 

2018年第2四半期業績

最高経営責任者のエマ・ウォルムズリーは次のように述べています。
「GSKは今四半期、3つのグローバル事業の全てにおいてCERベースの売上が伸び、グループの営業利益率も改善し、10%の調整後一株当たり利益成長率(CERベース)を実現し、フリーキャッシュフローも堅調ということで、全社にわたり期待の持てる結果を記録しました」

「売上増は、優先させた3つの新製品の力強い上市を反映したものです。その3つとは、COPD治療薬で1つの吸入器に3種の薬を入れたTrelegy Ellipta、服用が必要な薬の量を減らすことが可能となる、HIV治療薬の初の2剤維持療法薬で1日1回投与の単一錠であるJuluca、帯状疱疹予防の新たなスタンダードである「シングリックス」です。当社は、「シングリックス」の2018年の売上見込みを6億~6億5,000万ポンドに引き上げています」

「的を絞った事業業績の改善が、収益およびキャッシュフローの増加につながりました。当年度の年初来のフリーキャッシュフローは8億ポンドで、第2四半期の配当は19ペンスとなります。2018年の年間配当は引き続き80ペンスの見込みです」

「最近の新製品導入、R&Dの新たなアプローチの開発、コンシューマー事業の買収の成功を踏まえ、当社は、当グループのコスト基盤を評価し、競争力のある長期的成長を実現する上で必要となるものおよび当グループの3事業の業績について評価を行いました。その結果、我々は本日、新しい主要事業再編プログラムを発表します。このプログラムは、当グループのコスト基盤の競争力と効率性を大幅に改善し、主にサプライチェーンの最適化と管理費の削減により経費節減を実現することを目的としています」

「また本日、2018年の調整後一株当たり利益のCERベース成長率に関するガイダンスを更新しました。これは、「シングリックス」の売上見込み増、コンシューマー・ヘルスケア事業買収のプラス効果ならびに米国における「アドエア」のジェネリック競合品導入の遅れなどを反映したもので、それらの効果は、吸入器製品群の価格の圧力が続いている影響により一部相殺されています。我々は、2016~2020年の調整後一株当たり利益複合年間成長率(2015年CERベース)が1桁台半ばから後半に達すると引き続き考えております」

 

R&Dアップデート

第2四半期業績に加え、本日のロンドンでの投資家説明会において、GSKは研究開発(R&D)に関する新たなアプローチの導入を発表しました。

最高経営責任者のエマ・ウォルムズリーは次のように述べています。
「イノベーションは、昨年私がGSKにおいて設定した3つの長期的戦略優先事項のうち第一優先事項です。当社の医療用医薬品事業の業績改善および当社のR&Dパイプラインの強化がイノベーションには不可欠となります。本日、我々は有望な初期段階パイプラインにある当社のアセットの活用およびGSKにおける新たな成長の波を作り出すことを目的とした新たなR&Dアプローチの導入について発表しました」
「ハル・バロンのリーダーシップの下、我々は資源の再配分を行い、この新しいR&Dアプローチを支援し、新しい大幅な事業再編プログラムがもたらす経費の節減を、R&D費用増加の補填、ならびに新製品サポートに活用していきます。本日説明したR&Dアプローチは、患者さんや株主の皆様の利益となる、当社パイプラインに価値をもたらすと信じております」

Chief Scientific OfficerでありR&D Presidentのハル・バロン博士は次のように述べています。
「GSKには、患者さんに大きな恩恵をもたらす新薬開発の長い歴史があり、本日我々は、当社のパイプラインを強化し、新世代の医薬品やワクチンを可能にするR&Dにおける次のイノベーションのフェーズについてお話しています。新規医薬品を見出すための、この新たなアプローチの中核には、免疫システムの調節経路への重点的な取り組み、日々生成されている膨大な量のヒト遺伝情報の活用、機械学習を活用したこの複雑な情報の解析および賢明なリスクテイクが報われるような責任ある文化の醸成が含まれます。サイエンス、テクノロジーそして文化のこうした組み合わせにより、新たな知見を生み出し、当社の試験成功確率を引き上げ、重要な分野に注力することが可能となるのに加え、最も重要なことである、患者さんに大切な恩恵をもたらす新薬の開発が可能となります」

新たなR&Dアプローチ
ヒトの疾患発現に関与する免疫システムに対する我々の理解は急速に進んでおり、新しい免疫調節療法が有する、臨床的および商品化に関する機会が大幅に広がっています。加えて、慎重に遺伝子型および表現型を判別した患者群から得られた大規模データベースへのアクセスおよびデータ解析の技術進歩により、成功確率が大幅に向上し、創薬や医薬品開発の方向性を新世代の標的に定める機会が新たに生まれました。

サイエンス
今後、GSKの研究は、免疫システムならびに、人類遺伝学にもとづき高度に検証されたターゲットが関与する基礎生物学により重きを置いていきます。ヒトにおける遺伝的に高度に検証された作用機序を標的とした医薬品は、成功の確率がより高くなります(2倍)。これは、遺伝学主導型ポートフォリオ(遺伝学支援型とは異なる)へのシフトを意味しています。

GSKの医療用医薬品事業およびワクチン事業は、免疫システムを標的とする斬新かつ競争力のある製品を開発してきた長い歴史があります。当社には現在、臨床で27にのぼる免疫調節の新規化合物(NME)が存在します。これは、臨床パイプライン全体の60%を占めます。これら27のNMEのうち、半数以上は、多岐にわたる疾患のファーストインクラスの治療法となる可能性を秘めています。オンコロジーにおいて、GSKは、細胞療法、エピジェネティック制御化合物および免疫細胞標的抗体(作動薬および拮抗薬)といったあらゆる免疫学を基礎としたアプローチを用いた多くのアセットを開発しています。

ヒト疾患への遺伝的差異の影響を評価するのに活用できるデータベースへのアクセスは、医薬品開発を向上させる大きな機会となります。GSKは本日、世界を代表する消費者向け遺伝子検査キット販売および研究企業である23andMeとの新たな協力関係の構築により、同分野での能力の大きな前進を発表しました。この協力関係は、GSKが23andMeのデータベースや統計分析を用い、疾患に関連する遺伝子や新たな標的を特定する革新的な機会をもたらします。23andMeは現在、500万人を超える顧客を抱えており、その数は現在も増え続けています。そのため、同社は世界最大の遺伝子型および表現型データを有しています。GSKはまた、特定の疾患における特定の遺伝子差異を有する患者を定義できる23andMeの能力を活用することが可能となり、新しい臨床研究時の被験者登録を大幅にスピードアップすることができるようになります。この新たな協力関係は、EBI/Sanger Open Targetsコンソーシアム、Altius Instituteおよび英国バイオバンクへのGSKのこれまでの投資を補完するものです。

テクノロジー
遺伝子データの解析を支援する機械学習といった先進技術プラットフォームへの投資は、新たなR&Dアプローチを可能にする上で重要な役割を担うことになります。加えて、当グループは、CRISPR技術といった遺伝子編集の手法を使い、潜在的標的を検証する機能ゲノミクスへ投資する予定です。GSKはまた、コンピュータによる設計、自動化に加え、ライフサイクルにわたる新たなアセットの効能または効果の可能性評価、選定、シークエンシングおよびエビデンス生成の管理を行う新たな機能にも投資する予定です。これらの投資は、細胞療法および遺伝子療法におけるリーダーとしての地位を含む、その他の技術におけるGSKの既存の強みを補うものとなります。

カルチャー
この新たなアプローチの実施には、GSKのR&Dへの投資に加え、既存文化の変革が必要となります。当アプローチの重要な要素としては、社外パートナーとの有効な協力関係、新たな人材への投資、人材育成が挙げられます。GSKはまた、説明責任を強化し、賢明なリスクテイクの文化を推進していく予定です。これには、成功の再定義、進展ではなく真実を追求する文化の促進、最適化されたポートフォリオの意思決定に加え、新たなかつ堅固なガバナンスモデルの導入が含まれます。

当グループのパイプラインや技術力を強化するための的を絞った事業開発もまた、新たなR&Dアプローチの一部となります。

 パイプライン
GSKは現在、医薬品パイプラインに40を超える新規化合物を抱え、2018~2020年には大量の重要なデータが入手可能となる見込みです。当グループには、HIVの2つの2剤療法(ドルテグラビルとラミブジン、カボテグラビルとリルピビリン)、GSKの最先端のがん治療で多発性骨髄腫の治療に用いられる2857916(BCMA抗体薬物複合体)を初めとする複数のアセットについて、この期間に発売が見込まれています。2020年以降、GSKは、有望な早期かつ非常に革新的なR&Dポートフォリオから複数の医薬品を発売する予定にしています。GSKのR&Dパイプラインに関するさらなる詳細およびアップデートについては37ページに記載されています。

 

プレスリリースの原文はhttps://www.gsk.com/media/5011/q2-2018-results-and-rd-update-announcement.pdfを参照ください。