結核:世界最大の脅威と取り組む科学者たちの団結

結核は、世界でも死因の上位10位に入っています。ところがこの100年ではじめて、この疾患に対する新たなワクチン候補を見つける上で大きな一歩が踏み出されました。 

発熱、時には喀血が起こることで知られる結核は、現代社会が解決したというよりはむしろかつての小説の中にのみ存在するものとして、一度は制圧されたと考えられていました。しかしこの致死的となりうる疾患は再び勢いを盛り返し、今や年間症例数は1000万例となっています。 

結核が再び増加傾向にある理由はいくつかあります。その1つが、現在では多くの感染症治療に使われる抗菌薬の長期併用投与です。通常、患者は最大で4種類の薬剤を6~9ヵ月間服用します。

しかし、治療の完了にいたらない患者がおよそ20~30%いるということが、致死的な薬剤耐性株が出現するきっかけとなっています。近年、新たな治療選択肢がないことと相まって、これが結核新規症例の急増につながっているのです。

4000人

世界保健機関(WHO)によると、結核が原因で毎日4000人の命が奪われています。

こうした状況の中、WHOは結核を撲滅することができなければ、個人レベルでも世界的レベルでも公衆衛生に重大な影響があるだろうと警告しており、2015年から2035年の間に結核による死亡者数を95%減少させるという大きな目標を設定しています。

しかし、結核を撲滅するには、現在ある手段では不十分です。国際社会がWHOの掲げる目標を達成しようとするなら、さらに優れた新たな診断法や治療選択肢に加え、より有効なワクチンを開発する必要があります。

 

新たなワクチンを求めて

結核を引き起こす細菌である結核菌(MTB)に感染したヒト血球

現在のところ利用可能な結核ワクチンはたった一つ、BCGという略称でよく知られているカルメット・ゲラン結核予防ワクチンしかありません。乳児に接種した場合には、このワクチンは小児期における結核の重症化を予防しますが、成人の肺結核に対する有効性にはばらつきがあります。結核の流行国では、乳児を守るためにBCGは重要な役割を果たしていますが、地球規模で見ると疾患をコントロールするには至っていません。

「結核の新たなワクチン開発は困難を伴います。その大きな理由に、結核が非常に複雑な疾患であることが挙げられます」と、GSKのSenior Vice Presidentであり、ワクチン研究開発部門長でもあるEmmanuel (Manu) Hanonは説明しています。

結核菌(MTB)は、結核を引き起こす細菌ですが、「この細菌は生育に適した微小環境を作り出すことにより免疫系から自身を守り、宿主内で潜伏状態を保つという驚くべき能力があります」ことをManuは付け加えています。

「つまり、ワクチンによる細菌の排除がますます困難になるということです。さらに、研究室ではこの他に類を見ない潜伏機序を再現することが不可能であるため、結核に対するワクチン候補を見つける唯一の方法は、非常に多くの参加者を登録した臨床試験のみとなります。これがまさに今、GSKが行っていることなのです」

Aurum Institute for Health Researchの結核ワクチン研究者―Thembisa Hospital(南アフリカ)

 

GSKでは過去15年以上にわたり、非営利のバイオテクノロジー団体であるAerasと協働し、ビル&メリンダ・ゲイツ財団や英国国際開発省その他の支援を受けながら結核に対するワクチン候補の開発を行ってきました。

GSKのワクチン候補については現在、アフリカの結核流行地域で第II相臨床試験が行われています。被験者を2年間追跡して得た主な結果は、New England Journal of Medicineに発表されています。それによると、このワクチン候補は結核菌に潜伏感染した成人における結核の発症を防ぐことが示されています。本試験は現在進行中であり、2018年末には終了する見込みです。最終試験結果の分析は2019年に予定されています。

ほぼ一世紀ぶりに、結核に対する新たなワクチン候補の発見に向けた大きな一歩が踏み出されたのです。

「これは、健康に対する最も大きな脅威に対抗する新たなワクチンを探し、その開発を進めるべく有益なパートナーシップを構築するために、GSKの科学的専門知識を活用することを示す好例といえます」

Emmanuel Hanon(Senior Vice President/ワクチン研究開発部門長)


結核と闘うために結集された知見

ワクチン開発のみが、結核と闘う上でGSKが外部専門家と協業している分野ではありません。

スペインにあるGSKの研究開発部門では、新薬候補の開発が進んでいます。この施設ではGSKと外部研究者が協力して発展途上国で特に罹患率の高い疾患の治療薬を開発するために共同研究を行っています。

「HIVやマラリアといった他のグローバルヘルスの抱える課題と同様、結核と闘うためには力を合わせなければなりません」と、GSKのグローバルヘルス研究開発部門のSenior Vice PresidentであるPauline Williamsは述べています。「情報と科学的専門知識を共有し、官民パートナーシップを構築することで、次世代の結核治療の開発を阻むいくつかの障壁を乗り越えることができるでしょう」

マドリッドのトレス・カントスにある結核生物学研究室で働く上級研究者のEugenia

 

GSKは、多剤耐性型による感染症など、新たな結核治療法の開発に焦点を当てたいくつかの共同研究の参加企業となっています。2012年にGSKは、早期段階の共同研究から創薬を加速することを目的としたTB Drug Accelerator Program(他の医薬品研究機関と公的研究機関、およびビル&メリンダ・ゲイツ財団とのパートナーシップの下で行なう)に参加しました。GSKは、Predict TBという、新たな結核治療法の発見に対して極めて早期に存在する障壁の一部の解消に焦点を当てた、世界でも数少ない取り組みの1つの一端も担っています。

2012年にGSKの科学者は、将来の医薬品の成分となりうる200万超の化合物の全ライブラリーを、結核に対して有効であるかどうかを指標にスクリーニングしました。その後同定された200種の化合物をオンラインで自由に利用できるようにし、外部の科学者が研究を行えるようにしました。これまでにGSKでは、世界中の結核に取り組む30の研究団体とこれらの化合物を提供してきました。

「最高の科学者が力を結集すれば、グローバルヘルスの向上という点で飛躍的な進歩を遂げることができます」とPaulineは述べています。

「結核治療薬の研究は、研究室を開放し、GSKの有するリソース、データ、さらには専門知識を共有すること、すなわち共同戦線を張ることで達成できる分野であり、そうすることにより命を救うことができると考えます」

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